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タクシー業界のHR変革。“乗務員不足”を解決する『人材獲得事業』とは

2023年3月株式会社Mobility Technologies(以下、MoT)では、タクシー業界の長きにわたった課題である「乗務員不足」の解決に向けた実証的な取り組みとして、新たに『人材獲得事業』を開始。これまでの乗務員とは異なるパートタイム乗務員「GO Crew」が専用車両の「GO Reserve」に乗務することで、慢性的なハイヤー・タクシー業界の人手不足と遊休車両の活用による都市圏の供給不足を解消していきます。

今回は『人材獲得事業』を立ち上げた経緯、課題に対する解決策、現段階での手応えやこれからの取組みについて、新規ビジネス部 GO Crew事業グループ 事業責任者の萩原と伊藤に話を聞きました。


“乗務員不足”は、タクシー業界全体が抱える大きな課題

『人材獲得事業』の立ち上げに携わる伊藤(左)とGMの萩原(右)

——『人材獲得事業』の概要と立ち上げた経緯について教えてください。

萩原:この事業はタクシー業界全体が抱える「慢性的な乗務員不足」を解決したいという想いからスタートしています。タクシー乗務員の仕事は労働時間が長そう…お客様を見つけるのが難しそう…など大変なイメージが強く、長きにわたって人材獲得に苦戦している現状がありました。

加えて、ここ10年で全国のタクシー乗務員数は減少傾向にあり、2019年からの3年間で16.5 %の5.5万人減。コロナ禍における収入減少などの理由からタクシー乗務員を辞められる方が少なくありませんでした。

一方でタクシーの需要を見てみると、緊急事態宣言が出された2020年4月頃は、タクシー業界の売上は前年比6割減を記録しましたが、2022年にはほぼ回復しています。全国で8割程度、都内では9割以上とコロナ以前の水準に戻りつつあるんです。

——つまり、タクシー需要は回復するもタクシー乗務員は減少したまま、だと。

萩原:おっしゃる通りです。これによって、特に都市圏におけるタクシー配車が足りていない状況が発生しています。タクシーアプリ『GO』の認知度が高まる中、アプリダウンロード数も1200万超えとなり多くの方にご利用いただけるようになりましたが、朝の通勤時間帯や悪天候時においては、全ての要望にお応えしきれていない状況が生まれてしまっているのです。これらの課題を解決すべく始まったのが『人材獲得事業』になります。

——「タクシー乗務員の人材不足」をどのように解決していくのでしょうか。

萩原:タクシー事業者様と協力しタクシー乗務員の間口を広げることで、これまでアプローチできずにいた方々に対しても“仕事の選択肢”として候補に入れてもらえることを目指します。

たとえば、労働時間でいうと一般的には「隔日勤務で20時間程度」になりますから、働く時間の長さを見て体力が求められると感じる人が多かったんですね。他にも、道を走りながらお客様を見つける“流し”と呼ばれる営業方法についても、どこに行けばお客様と出会えるのかは経験によると思われがちだった。なので、『人材獲得事業』では「体力や知識・経験に不安を感じることなく働ける環境」を整えることで解決を目指していきました。

実績を積んだITサービスが「GO Crew」をサポート

——「体力や知識・経験に不安を感じることなく働ける環境」とありましたが、具体的にはどのようなものになりますか?

伊藤:『人材獲得事業』で活躍してくださる乗務員の方々を「GO Crew」と呼んでいるのですが、彼らが働く環境の特徴は大きく2つあります。1つ目はアプリ注文のみを受け取る『GO Reserve』という車両で乗務すること、2つ目は「従来とは全く異なる新たな勤務体制」を取り入れていることです。

1つ目の『GO Reserve』車両というのは、目的地入力済みのキャッシュレス注文など、タクシーアプリ『GO』からの一部注文のみを受ける車両を意味しています。つまり、都度ルートを考えながら走行する必要はありません。なのでお客様を街中で探す“流し”に不安を感じる方も安心して働くことができます。

——MoTがこれまで開発してきたITサービスが、「GO Crew」と「GO Reserve」をサポートしてくれるんですね。

伊藤:そうですね。タクシーアプリ『GO』専用車両なので、“目的地入力済み”もそうですが、他にも“GO Pay決済”や、交通ビッグデータとAI技術を用いて、より効率的にアプリの配車依頼を受けられるように移動を誘導する“お客様探索ナビ”など、これまでMoTが実績を積んできたITサービスを活用することで安心・安全な運行をサポートしていくことができると考えています。

——2つ目の新たな勤務体制については?

伊藤:これまでの「長時間勤務」「歩合給」という働き方ではなく、「週3日~OK」「1日6時間~OK」「時給制」を基本の働き方としています。これにより、自分の都合の良い時間だけ働きたいと考えていた方にもアプローチできるようになりました。

近年では副業マーケットが急拡大する中で、平日の日中だけ働きたい、定年退職したけれどまだ負担がない程度に働いていたい、夢を追いかけながらパートとして働きたい…などのニーズが増加しています。そういった方々から、“自分に合う仕事”として「GO Crew」を選んでいただけるのではないかと考えています。

新たな雇用を創出し、タクシー業界のHRを変革

——『人材獲得事業』を推進する中で、どのような手応えを感じていますか?

伊藤:タクシー業界全体の人材不足解決を視野に入れ、現在は日本交通グループの株式会社ハロートーキョーと協業し、これから順次稼働を進めていきます。私自身も今年2月より株式会社ハロートーキョーに出向し、「GO Crew」の採用・研修・教育などを担当しているのですが、「GO Crew」の採用においては、思った以上の反響がありとても驚いています。

——どのような反響でしょうか?

伊藤:実際に応募してくださった方からは、「(短時間勤務が可能なので)副業を考えている」、「隙間時間に働くことができ自由度が高い」、「これなら体力的にも厳しくなさそうなので働けそう…」といった声が上がっており、まさに我々が想定していた方ばかりです。

——なるほど。あまりご苦労はありませんでしたか?

伊藤:いえいえ、そんなことはありません(笑)。「GO Crew」は従来の乗務員とは違う働き方になりますから、全ての制度を新たに作っていくといっても過言ではないんです。雇用契約書はもちろん、採用、面接、研修、評価…あらゆる仕組みをゼロから作り上げていく必要があります。なので、まだまだ本当にやるべきことが山積みです。ただ、出向したことでタクシー事業所のリアルが見れるので、きちんと現場にあった仕組みを作っていけることはとても楽しいですし、仕事の魅力だと感じている点でもあります。

萩原:ここから先は実際に稼働してみると想定外な事象も起こりうると思っています。たとえば、歩合給から時給制に変更したほうが、「GO Crew」には合っていると思っていたけれど、もしかすると“モチベーション維持”の観点から考えると、違った意味を持つかもしれない。一つひとつ検証をしながら現場にフィットしたものを作り上げていきたい。そして、全国にも展開していきたいと考えています。

——本当にタクシー業界全体を良くする話なんですね。

萩原:今回の『人材獲得事業』は、「タクシー業界のHR変革」だと捉えています。この事業が成功すれば、タクシー業界が長年抱えてきた慢性的な人材不足の課題は解決しますし、一方では働きたいけど自分に合う働き先が見つけられずにいる方にも新しい道を提示できる。社会的意義の高い取り組みなのだと思っています。

伊藤:本当にそうですよね。先日「GO Crew」に応募してくださった方から「こういう仕事を作ってくれてありがとう」と感謝の言葉をいただいたんです。その方は、数年前までタクシー乗務員として働いていたそうなのですが、“流し”でお客様を探すのが大変で退職を決意。本当は続けたかったけれど辞めるしかなかった、と。でも「GO Crew」だったら自分も働けると思って応募しました、と伝えてくださって、本当に嬉しかったんですよね。

いま、私たちが取り組んでいるのはまさに「雇用の創出」です。その部分にダイレクトに関われていることが仕事のやりがいにつながっていると感じています。『人材獲得事業』を必ず成功させ、業界の課題を解決することはもちろん、世の中に数多くの雇用機会を生み出していきたいと思います。

萩原修二(はぎわら しゅうじ)
次世代事業本部 GO Dineビジネス部 部長 兼 新規ビジネス部 GO Crew事業グループ グループマネージャー

エンジニアやITコンサルタント、新規事業開発を経て、2012年リクルートに入社。商品企画として活躍した後、スタートアップ企業でのCOO職を経て、2019年に旧JapanTaxiに入社。事業統合後はタクシーフードデリバリーサービス『GO Dine』や『人材獲得事業』など新規事業開発に従事。

伊藤広樹(いとう ひろき)
次世代事業本部 新規ビジネス部 GO Crew事業グループ

大学在学中に学習塾の立ち上げを経験した後、大手人材会社で採用支援や営業企画に従事。2021年12月にMobility Technologiesに入社。現在は『人材獲得事業』のPMOとして全体進行、応募以降の運用設計や企画を担当。

※掲載内容は2023年3月時点の情報です。

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