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“AI技術の社会実装”ができる環境はそう多くない。チャレンジングなプロジェクトだから味わえる面白さ。

各プロダクトから得られたデータを活用し、自動運転やスマートシティ向けの“次世代のデータ活用基盤”の開発を行なっている「KUUグループ」。これまでにも、事業部で取り組んでいる数々のプロジェクトについて話を聞いてきました。

▼過去の記事

今回は、開発の最前線で活躍するエンジニアに具体的な仕事内容や面白さについて聞いてみます。GISエンジニアの松浦(左)、プロダクトマネージャ兼データエンジニアの渡部(中央)、AI研究開発グループをとりまとめる宮澤(右)が答えてくれました。

誰もやったことがない、チャレンジングな取り組み

——過去の記事でも紹介していますが、簡単に「KUUグループ」の取り組みについて教えてください。

渡部:「KUUグループ」では、「GO」や「DRIVE CHART」といったMoTのプロダクトから収集されるデータを活用した次世代のデータ活用基盤を開発しています。

いくつかのプロジェクトが動いていますが、たとえば「DRIVE CHART」を搭載した車両が走ることで地図更新される仕組みを目指したプロジェクト。これは、位置情報ソリューションを展開する株式会社ゼンリン(以下、ゼンリン)との共同研究で行なっているものです。
タクシーや、トラックに設置された「DRIVE CHART」から車外の映像データを取得し、既存の地図情報と実際の道路情報の差分を機械学習等の技術により自動で抽出。この情報をゼンリンが地図整備に活用することで、高鮮度な地図情報の提供が可能になります。

松浦:他には、携帯電話網を活用し、交通信号制御機から送信された信号情報を自動運転車両からのリクエストに応じて配信するプロジェクトもあります。車両は受信した信号情報とその他のセンサー等からの情報を組み合わせて交差点での制御に役立てています。このシステムを実際に使用した実証実験を行っており、そこで得られた知見を元に今後の事業開発やサービス展開への活用を進めているところです。

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——「KUUグループ」のプロジェクトに取り組む中で感じられる仕事の面白さはどこにありますか?

宮澤:私はAI技術の研究開発を担うグループのリーダを務めています。ドライブレコーダーの映像から地図との差分を見つけるには、まず画像認識技術を使い映像から標識や信号機などを検出する必要があります。私のグループではこうした画像認識等のコンピュータビジョンと呼ばれるAI技術の研究開発を担当しており、また私自身も研究開発エンジニアとして、検出された物体の緯度経度を推定する技術などを開発しています。

面白さについては、技術的なところでいえば、これまで専門分野として知識やスキルを磨いてきたコンピュータービジョンをコア技術にしたサービス開発ができることでしょうか。私は研究者出身ですが、世の中の人に満足いただける“サービス”を生み出していくということは、例えば論文を書くことを主な目的とした研究開発ととはまた違った難しさがあり、そこに面白さを感じています。

——純粋な研究ではなく、サービス開発だからぶつかる壁ということでしょうか?

宮澤:そうです。AI技術も進化していますから、ドライブレコーダーの映像から標識や信号機を検出することはそれなりにできるわけです。日々新しいアルゴリズムが発表され、論文上での検出精度はどんどん上がってきています。ですが、顧客が想定する条件やシチュエーションで顧客が求める性能を安定的に満たせるかどうかはまた別の話になる。最新アルゴリズムでもある条件下では使い物にならないかもしれないし、計算量が大きすぎてクラウド費用が爆発するかもしれない。世の中に出すサービスとして解決しなければならない課題に向き合い、解決していくことはとても面白いですね。

加えて、「KUUグループ」が取り組んでいるプロジェクトは、既存のプロダクトをただそのまま流用したり、前例に従えば開発できたり…というものではありません。これまで誰もやったことがないような非常にチャレンジングなプロジェクトです。最新技術の取り入れ、改良、サービスへの実装と幅広く担当することで、自身の成長や他では味わえない経験を積めていると感じます。

渡部:「非常にチャレンジングなプロジェクト」というのは同感です。プロジェクトを初めて1年近くが経ちますが、成功に向けて試行錯誤しながら進めているというのが本音のところですから。

私は、プロダクトマネージャとして、プロダクト全体の設計やゼンリンとのやり取りなどを担当しています。同時に、自らもエンジニアとして手を動かすことも多いですね。たとえば、ドライブレコーダーから得られた膨大なデータに対して、AIの物体認識処理をクラウドの分散処理サービスを使って動かす部分を開発しています。

データを使って、世の中に役立つシステムを

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渡部:私は仕事の面白さでいうと、“データを社会に活かせること”です。これまで過去にもデータエンジニアとしてビッグデータプラットフォームの構築・運用などを経験してきましたが、当時はデータ活用というと、Web広告で活用されることが中心。個人的にはそうではなく、“データを使って世の中に役立つシステム”を作りたいという思いがあったんですよね。そういう意味では、データを通じて高鮮度な地図情報を提供することは、希望に叶った仕事といえますし、面白さややりがいを感じる点です。

松浦:私はまさに「高鮮度な地図情報の提供」に携われることが面白さですね。渡部さんとは少し違った観点ではありますが、更新の仕組みに関われることがとにかく楽しい!

私は、学生時代から一貫して地図やGIS(地理情報システム)をフィールドとするエンジニアとして仕事をしてきました。もともとこの分野に興味を持ったきっかけも地形の起伏を表現した数値標高モデル(DEM)を見てかっこいいと思ったからで(笑)。とにかくデジタル地図が好きなんです。MoTでは、GISエンジニアとして、地図データベースの設計・構築、GISを用いた差分結果確認ツール開発などを担当しています。

渡部:そうそう、松浦さんの地図愛はすごい。極めてます(笑)。
そして、私たちが開発しているサービスを考えると、地図のことを良く知っている人がいることがとても重要で。まさに松浦さんはそんな存在ですね。GISに関する知識・ノウハウを提供してくれることで、スムーズな開発フローを作ることができています。

先日も松浦さんが開発したツールもみんなビックリしていましたよね。デバッグをもっと快適にできるようにと松浦さんが3週間ぐらいで作ってきてくれたのですが、その完成度の高さに驚きました。どこかに頼んだら、かなり高額な請求をもらうと思います(笑)

——気になります!どういうツールなのでしょうか?

松浦:そんなに褒めていただいて嬉しいですね(笑)。
大前提の話になるのですが、ドライブレコーダーから取れたデータというのは、標識を発見することは比較的高い精度でできますが、地図の差分を見つけるために必要なレベルで標識の分類や位置の特定をするには、工夫や改善を積み重ねる必要があるんです。たとえば、ある交通標識が全国にあるラーメンチェーンの看板と良く似ていて…なんていう、ちょっと笑い話のような問題が多くあります。

私たちが求めるレベルの道路差分情報に持っていくためには、それらの誤った判定や認識を取り除いていかなければならないですし、システムによって解決されたのかをチェックしていかなければならない。私が開発したのは、そういったチェック作業を楽に行なえるもの。走行データや判定結果、判定に用いた映像を地図上に可視化することで、快適に行なえるようにしました。

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▲オープンソースのGISソフトウェア「QGIS」の拡張機能として開発された差分結果確認ツール
地図:Base map and data from OpenStreetMap and OpenStreetMap Foundation

データ収集からアプリ開発まで。一気通貫での開発を実現

——“誤った判定や認識を取り除いていくこと”はとても大変で難しいことなのですね。

宮澤:おっしゃる通りです。そして、画像認識の誤差もそうですが、複雑な地図を一意に解釈して差分を見つけるというのも実は極めて困難です。地図はとにかく多様なので、実際にやってみるまで見えない課題がたくさんあります。AI技術を使ったサービスの社会実装ならではの課題ですね。

——AI技術をサービスとして社会実装している例はあまり多くないのでしょうか?

渡部:そう思いますね。今、世の中ではAI技術がトレンドではありますが、実はWEB業界を除くと、実際の世界で役立てられてるケースはそこまで多くない印象を持っています。実証実験として進めてることはできても、サービスやプロダクトとして社会実装することは難しいんです。

宮澤:我々のプロジェクトはまだサービス化の道半ばですが、MoTが「GO」や「DRIVE CHART」といったAIをフル活用したサービスを社会実装できている理由の一つとしては、各分野に知識を持ったエンジニアがいることが大きいですよね。

大量のデータを集める仕組みの構築、データから必要な情報を取り出すAIアルゴリズムの開発、クラウドでの分散処理、アプリなどのサービス開発…どの分野が欠けていてもいけなくて、一気通貫で開発が行なえることが、他にはない最大の強みなのだと思います。“AI技術の社会実装”という点で、MoTは非常にレベルの高い会社なのではないでしょうか。

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——AIエンジニア、データエンジニア、GISエンジニアなど、各分野に強みがあるメンバーが多くいらっしゃるわけですね。

松浦:それはありますね。一緒に働くエンジニアが優秀すぎるので、自分のバリューを発揮するのに必死なところはあります(笑)。なのでMoTの場合、何か自分なりに極めているものがあると活躍いただけるのではないかと思いますね。これまで専門としてきたことを活かしつつ、さらに勉強していけるような人にとても向いていると思います。

渡部:活躍できる方というところでいうと、あらゆる変化に恐れないことも重要なマインドです。「KUUグループ」が取り組んでいるのは、こういった高い専門スキルを持ったプロフェッショナルが集まっても難しい話ですから、決まったやり方を当てはめても上手くいくわけではありません。新しい変化を楽しんでいける方だといいですね。そして、その先にある“安心・安全で便利な交通社会の実現”を一緒に目指していけたら嬉しいですね。

宮澤 一之
開発本部 AI技術開発部のグループリーダーとして、AI研究開発を担当。
東北大学にて博士号を取得後、電機メーカの研究所を経て2019年にDeNAに入社、2020年にMoTに移籍。電機メーカでは映像圧縮のアルゴリズム開発や標準化に携わった後、監視カメラや車載カメラ向けの画像認識やFA向けの自動外観検査技術の研究開発を担当。DeNAおよびMoTではオートモーティブ事業向けのコンピュータビジョン技術の研究およびエンジニアリングに従事。

渡部 徹太郎
次世代事業本部 データビジネス部 KUUグループ データエンジニア
東京工業大学大学院にてデータベースを研究。前職ではリクルートテクノロジーズにて複数のデータ基盤のリーダをする傍ら、日本AWSユーザ会ビッグデータ支部長や東京大学非常勤講師を実施。数多くの対外発表をしており「図解即戦力 ビッグデータ分析のシステムと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科」の著者。MoTではデータエンジニアとして活躍。

松浦 慎平
次世代事業本部 データビジネス部 KUUグループ エンジニア
学生時代から、一貫して一貫して地図やGIS(地理情報システム)をフィールドにエンジニアとして経験を積む。MoTでは、地図データベースの設計・構築、車両データの収集システムのバックエンド開発、GISを用いた差分結果確認ツール開発などを担当。他にも、自動運転向けの信号情報配信システムの開発も担当。

※掲載内容は2021年5月時点の情報です。

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