半年に2週間、業務を離れてスキルアップに集中! Engineer Challenge Weekとは?
2021年度の下期よりスタートした『Engineer Challenge Week(以下ECW)』。Mobility Technologies(以下MoT)で活躍するエンジニアのスキルアップを促進するために、2週間を新たな知識や技術の習得に充てる取り組みです。
初回のECWを終え、発案者である取締役の惠良(えら)と実際に参加した3名のエンジニアが集合。それぞれの取り組みについて振り返りました。
初回のECWを終えて
ーまず、ECWに参加したお三方に質問です。ECWでのそれぞれの取り組みから教えてください。
朴:私は2つあります。1つは、視覚に障がいを持つユーザーがインターフェースに表示された内容を知ることができる「VoiceOver(ボイスオーバー)」という機能を利用して、タクシーアプリ「GO」を操作できる仕組みの開発。もう1つは、「GO」で使用されているGoogle Mapsの機能拡張です。いずれにせよ、iOSアプリのユーザーサイドの部分ですね。
加藤:私は普段タクシー事業者向けの管理画面を開発しているのですが、ECWでは管理画面上で大きめのCSVファイルなどをバックグラウンドで効率的にダウンロードできる仕組みの開発・設計に取り組んでいました。もともとチーム内でも「大きいファイルをダウンロードする仕組みを導入したい」という話はしていて。ちょうどECWのタイミングだったので、「じゃあ、やってみたいです」と手を挙げました。
竹田:私は二人とは若干毛色が違っていて、Raspberry PiでKubernetesクラスタをつくっていました。普段バックエンドを担当している法人向けサービスの「GO BUSINESS」もKubernetes上で動いてはいるのですが、せっかくのECWなので普段の業務ではなかなか触れられないようなところにチャレンジしました。子どもが生まれたばかりで育児も忙しく、なかなか家でRaspberry Piを触れるチャンスがなかったので。
ーECW発案者の惠良さんは、お三方の取り組みについてどう感じますか?
惠良:想定している範囲内でやってくれた印象を受けています。いくらチャレンジの機会とはいえ普段の業務と全く関係ない領域に手を出してしまうと、自己満足で終わってしまうので。きちんと業務にフィードバックできる方向性だったことは期待通りでした。
ー全体のエンジニアの3割程度が参加したと聞きました。この数字についてはどのように捉えていますか?
惠良:初回にしてはまずまずの参加率だったのではないでしょうか。
そもそもエンジニア全員の参加を目指している施策ではないんですよ。たとえば、AI技術などを担当しているメンバーは、普段の業務自体がトライアンドエラーを繰り返し最新技術を追求していくR&Dに近い側面があるので、参加しなくてもいいと思っていますし。
「今まで時間が取れずにトライできなかったこと」や「プロダクトの質を高めるためにやりたかったこと」があるようなエンジニアがスキルアップに活用してもらうことが狙いだったので、参加人数についても想定通りでしたね。
なぜ業務にフィードバックできるテーマであるべきなのか
ーテーマ選び、予算、実施タイミングの選定まで、それなりにハードルは高いような印象を受けますが、この狙いは?
惠良:まず、テーマ選びについてご説明しますね。
「自らの業務にフィードバックできる内容であること」をルールに掲げている理由は、事業部にECWについて納得してもらうためです。
そもそも業務時間を充てるわけですし、たとえばGO事業本部は新しい開発が目白押し。猫の手も借りたいような状況にも関わらず「ECWに2週間使わせてほしい」と頼むわけですから、プロダクトにフィードバックできるようなチャレンジでなければ納得してもらえませんよね。スキルアップも含めた業務の一環として社内に認識してもらうためのルールです。
また、ECWのために新たに予算はつけません。エンジニアがスキルアップに2週間を充てること自体に人件費は発生しているので、すでにコストはかかっているわけですし、何かしら費用が発生するとしてもそれは部門の予算の中から捻出すれば良いだけです。テーマ選び、予算など一見制限が多いように見えるかもしれませんが、業務の一環として取り組んでもらう以上は最低限クリアしておくべきラインだと認識しています。
ただですね、期間として2週間調整することは非常にハードルが高いと思います。今はみんな忙しいので、テーマ選びよりも実施タイミングの設定の方が苦労したと思いますよ。
ーそのあたりは実際どうでしたか?
朴:当初は「本当に2週間もとっていいのか?」と心配でした。ちょうど忙しいタイミングで、自分が2週間も稼働しなくなったら他のエンジニアに負担がかかってしまうので。
そこで、事前にある程度調整し、1週間ずつ時期をずらしながらECWに充てました。チーム内での連携もうまくいって、大きなトラブルはなく乗り越えられたような気がします。
加藤:私たちは、チームの開発がちょうど一区切りついたタイミングだったので、周りを意識することなくまとめてECWに取り組むことができました。実施タイミングについては特に難しさはなかったですね。
逆に大変だったのがテーマ決めです。上長と各メンバーでのすり合わせはできていたのですが、チーム内での目線合わせができていなかったため、直前になって「本当に業務にフィードバックできるのか?」みたいな議論が生まれました。「事前にもっとコミュニケーションをとっておけばよかった」と反省したポイントです。
竹田:僕のチームも全員で一斉に取り組むために各所への調整を進めていました。しかし、既存の案件が予定通りに進捗しなかったこともありECWに入れないメンバーもいました。そういう意味では、惠良さんが話していたハードルの高さを痛感しています。
ECWがエンジニアたちにもたらしたもの
ー実際にECWを終えた感想を聞かせてください。ご自身に変化はありましたか?
朴:エンジニアとして開発に対するモチベーションはすごく上がりましたね。もちろん今までも低かったわけではないのですが「GO」ローンチ以降普段の業務に追われてしまい、エンジニアリング的なチャレンジはできていなかったので。
今回のECWで業務に直接関係のない技術にも向き合えるようになったり、タスクとして積まれていた課題とも向き合ったりしたことをきっかけに、新しい技術やトレンドに対する視野が広がった感覚があります。
加藤:私は自分が興味のある領域を深めることができました。
具体的には、バックエンドに関する知見や技術の習得ですね。普段はフロントエンドもバックエンドもどちらも書かなければいけないのですが、基本的にフロントエンドがメイン。バックエンドには携わる機会は少なく、個人的にもっとチャレンジしたいと思っていました。ECWではバックエンドにたくさん触れることができたので、理解を深める機会になったように思います。
竹田:僕が取り組んだKubernetesは「GO BUSINESS」でも使っているのですが、SREチームにでも入らない限り触れる機会はほとんどなかったので、インフラ側の理解を深めていく上での大きな下地になったと思います。ぜひ今後も継続していきたいですね。
ー惠良さんの手応えとしてはいかがでしょう?
惠良:取り組みとしては非常によかったと思います。半期に一度実施しているeNPS(Employee Net Promoter Score)のスコアもいいし、ポジティブなコメントも多い。
内容も朴さんや加藤さんのようにプロダクトにそのままフィードバックできるようなことをやっている人もいれば、竹田さんのように中長期的に見たときにスキルアップにつながるようなことをやっている人もいるので、「設定したルールの中でみんなうまくやってくれたのかな」と感じています。
理想はECWでなくても普段から自発的にチャレンジすることなのですが、今のMoTの状況からは現実的ではないので。ECWを通じて、チャレンジや自分のモチベーションアップのヒントを見つけてもらえたら嬉しいですね。
ECWをエンジニアが視野を広げるきっかけに
ーそもそも、なぜECWを実施しようとしたのでしょう?
惠良:きっかけはエンジニアからの声です。
MoTでは3ヶ月に1度ワンデーワーケーションを実施していて、朴さんをはじめとするエンジニアメンバー10名ぐらいと「GOを良くしていくためにはどうすればいいのか」とディスカッションをしました。ディスカッションではすごくたくさんのアイデアが出てくるのですが、いざアクションに移そうとすると「今はやる余裕がないです」という話になってしまって。そこで「ちょっとやってみましょうか」と動ける時間の必要性を感じました。
前提として与えられた仕事をこなしていくよりも、サービスを自分ごととして捉えてチャレンジしていく方がエンジニアとして重要じゃないですか。何かしらのチャレンジを通じて、エンジニアとして視野を広げるきっかけにしてほしくてECWを企画しました。
ーECWの話を聞いたときの印象はどうでしたか?
朴:嬉しかったですよ。「こういう時間が欲しい」と惠良さんに直談判していた人間のひとりなので(笑)。与えられた仕事をこなしているだけでもサービスとしては機能するかもしれませんが、エンジニアとしてはちょっと物足りないわけです。ECWによって仕事のワクワク感はすごく増したように思います。
加藤:私はびっくりしましたね。入社してすぐにECWを知ったのですが「こんなにエンジニアの技術的な側面に寄り添った施策を企画してくれるんだ!」と。
竹田:僕も同じです。こういう施策を始めるにあたって、業務調整に難航することが多いのですが、その中でもちゃんとやり切ったことは単純に「すごい」と感じました。
惠良:そうなんですよね。同じような取り組みを実施している会社もあるんです。ただ、開発に余裕があり、福利厚生を充実させているような会社がほとんど。少なくともMoTのように開発にどんどんドライブをかけていかなければいけないフェーズの会社ではありません。会社として、それなりにリソースをかけている施策だと思います。
それでもチャレンジしたのは、エンジニアの働きやすさを整えていくことがこれからのMoTにとって重要だからです。自分自身でテーマを選んで踏み込んでいく経験の有無はその後のエンジニア人生を左右するはずだし、精神衛生上絶対に変わってくる。成長に前向きになれて、かつキャリアアップも叶えられる組織にしていきたいですね。
ECWから新サービスが生まれる未来を
ー今後の展開についても教えてください。
惠良:引き続き、半期ごとに実施していく予定です。
ただ、もちろん強制力のあるものではないので、「やりません」という人がいてもいいし、「毎回やる」という人がいてもいい、1回やって「1年後にまたやろう」という人がいてもいい。そのあたりは各々の判断に委ねています。
ただ、自分たちの開発スタイルにフィットするやり方を見つけるためには何度もチャレンジする必要があるかもしれません。正解はひとつではないので、やりながらどんどんアップデートしていきたいですね。
将来的にはエンジニア以外にデザイナーやプロダクトマネージャーも巻き込んで、みんなで集まって何かつくってみても面白いかもしれない。カジュアルに一体感のある取り組みができるカルチャーをつくっていく上での礎のようなものにしていきたいと思います。
ーちなみに、みなさん次回考えているテーマはありますか?
加藤:次回もぜひチャレンジしたいのですが、テーマについてはまだ検討中です。私の場合は今回テーマ決めで苦労したので、決め方から改善していきたいところです。
竹田:私は育休を取得する予定なので、今のところ次回はやらない予定です。次回以降でしたら、アウトプットしやすくかつフィードバックを得やすいテーマにしたいですね。
朴:私もテーマは慎重に選びたいですね。やってみてわかったのですが、2週間という期間は長いようでできることは限られているので。今回のテーマについても完成できずに残している部分もあるので、次回のECWでは完成度を高めて、みんなにフィードバックしてもらいたいです。そういえば、チーム内での振り返りやエンジニア間での共有はしましたが、デザイナーやPdMを巻き込んで振り返ってみてもいいかもしれませんね。
惠良:そうですね。アップデートする過程で、別職種のメンバーも巻き込んでいきたいですね。いきなり「資料つくって発表してください」みたいなプロセスを挟むと途端にハードルが上がってしまうので、少しずつですが。
いずれにしても各々の取り組みについては全社員が確認できるように共有されているので、「この人はこういうことをやってましたよ」というアナウンスも定期的にしていった方がいいですね。ビジネス部門が新しいサービスを着想するきっかけになるかもしれないし。会社全体でECWを最大限に活用できるスキームをつくっていきたいと思います。
※掲載内容は2022年7月時点の情報です。
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