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AIを社会実装できる企業は多くない。データビジネス部 部長 渡部のキャリアデザインとは

「IT領域で生きていきたい」と新卒で大手SIerへ入社した渡部。その後、大手Web企業へ入社。エンジニアとしてキャリアを歩むなかで芽生えたのが「世の中の誰かの役に立つ仕事がしたい」という想いでした。

今回の『キャリアデザインを聞く』では、渡部のこれまでのキャリアと「世の中の誰かの役に立つ仕事がしたい」という仕事観が醸成された経緯、そしてGOでの挑戦の日々について聞いていきます。

渡部わたなべ 徹太郎てつたろう
次世代事業本部 データビジネス部 部長 兼
AI技術開発部 データプラットフォームグループ グループマネージャー
東京工業大学在学中にデータベースと情報検索を研究。大手SIer、大手Web企業を経て、2019年5月にGOの前身となるJapanTaxiへ。GOが展開する次世代AIドライブレコーダー『DRIVE CHART』から車外の映像データを取得し、AIを活用して地図情報との差分を抽出。抽出した情報を地図会社に提供する「KUUグループ」の責任者を務める。『実践的基盤への処方箋〜ビジネス価値創出のためのデータ・システム・ヒトのノウハウ』『ビッグデータ分析のシステムと開発がしっかりわかる教科書』『RDB技術者のためのNoSQLガイド』著者。


自分の仕事は誰の役に立っているんだろう?

渡部わたなべ 徹太郎てつたろう
次世代事業本部 データビジネス部 部長
兼AI技術開発部 データプラットフォームグループ グループマネージャー

ーまずは新卒でSIerを選んだ理由から教えてください。

身も蓋もない言い方になってしまいますが、「ITで飯を食っていきたい」と思っていたからですね。当時はWeb系よりもITに勢いがあるようなイメージがあったので、一番人気があったSIerへ入社しました。

入社からしばらくはひたすらにシステムを開発する日々を送っていました。入社から4年も経って、社内ベンチャーのチームに配属。すると、いろいろと業界の慣習に違和感を覚える部分も出てきて。

特に疑問を感じたのは、原価と売値のアンバランスさです。もちろん会社なので利益率は高い方がいいわけですが、売り手の言い値で購入されるような場面を何度も目にして。

本来であればもっと効率的に開発できるはずです。エンジニアである以上は適正な価格で効率よくものづくりをしたいのですが、なかなか自分の思うような働き方はできなかった。「これからITの活用を推進していくべきなのに、このやり方じゃ日本は発展しないな」と感じ、“売る側”のSIerから“使う側”の企業へ転職することにしました。

ー転職先はどのように選んだのでしょうか。

はじめての転職で右も左もわからないような状況だったので、転職サイトに登録したところ、スカウトがたくさん届いて…。話を聞いていくなかで一番勢いがあって、スピード感と裁量のありそうな印象を受けた大手Web企業への入社を決めました。

入社して自分の抱いていた違和感を解消できたというか「ほら、やっぱり効率よくできたじゃん」という体感を得られたことは大きな発見でした。

任されたのは、おすすめアイテムの表示やメールマガジンのパーソナライズを推進するためのビッグデータ分析基盤の構築です。最初は意思決定スピードも早く、どんどん開発もできたので楽しかったです。ただ、3年目を迎えると「自分の仕事は誰の役に立っているんだろう…」と感じるようになってきて。

マーケティング観点で大事な施策であることは理解していたのですが、そもそも、自分自身が広告をクリックすること自体なかったので……。「もっと役に立つデータの使い方をしたい」と次のステージを考え始めるようになりました。

ーなぜ次のステージとしてGOの前身であるJapanTaxiを選んだのでしょうか。

データをより世の中に役に立つ形で活用したかったからです。JapanTaxiではドライブレコーダで撮影した車外映像のデータを元に、交通課題を解決する研究開発をしており、まさに僕が求めていたデータ活用だと思いました。

加えて、JapanTaxiが中核としていたタクシーアプリ自体にも可能性を感じていました。というのも前職でよく足を運んでいた米国ではUberやLyftの躍進が凄まじく、こういったモビリティサービスが次の時代には来ると感じました。更に、これらの企業に米国の腕利きエンジニアが転職している実情もあり、エンジニアとしてもWeb業界の次にモビリティ業界に身を置くのは悪くないと感じました。

なぜGOは、AIの社会実装ができたのか

ー入社してみていかがですか。

「ドライブレコーダーのデータを扱える」という点が大きかったですね。

これまではWebという仮想現実世界がフィールドでしたが、これからは道路上の画像という現実世界がフィールドになる。しかも、ドライブレコーダーで撮影した画像から必要なものを見つけて、そのデータを必要とする会社にレポートするモデルと、テクノロジーを通じて世の中の役に立ちそうな期待を持てましたし、実際に手応えを感じています。

ー入社以来、同様の業務を担当していますが、2020年の事業統合などの節目で何か変化はありましたか?

正直なところ、JapanTaxi時代はビジネス化を模索し続けるような日々でした。「答えはこのあたりかな」とぼんやり見えてきたタイミングで事業統合したところ、DeNAではすでにドライブレコーダーの動画を元に地図を更新するプロジェクトがスタートしていて。

ですから、もし事業統合がなかったら僕はまだ「ずっと活用しようかな」と迷っていたかもしれない。DeNAに“答え”があったことで、より早期に世の中の役に立つプロジェクトになれたのではないでしょうか。2024年現在、4年前には影も形もなかったシステムがちゃんと動いていることは感慨深いものがあります。

ーお話を聞くと、かなりチャレンジングなプロジェクトだったように思います。

実際、難しかったですよ。僕自身はやりたいことができていたのでモチベーションが下がることはありませんでしたが、JapanTaxiだけではおそらくAIの技術力もデータソースも足りなかったので。事業統合によってAIの技術力、『DRIVE CHART』のデータソース、そして僕がもたらしたであろうエンジニアリング力がうまく組み合わさってカタチにできました。事業統合がなければ、今はないと思います。

あと、もうひとつ大事な要素が予算の見立てです。きちんと予算を組んで、プロジェクトとして立てられているから優秀なAIエンジニアを採用できる。いくら世の中の役に立つテーマでも、予算がなければ誰も何もできませんからね。

ー今はAIベンチャーも多いですが、どの会社でもできるわけではないんですね。

AIベンチャーはAIを売る側なので、実際にAIをつかって業務を変える部分から一歩遠いポジションになります。このドライブレコーダの動画をもとに地図を更新するプロジェクトにおいては、AIは一つの要素技術でしかなく、そのAIをどうやって地図の更新業務に落とし込むかがポイントですので、AIを使う側の企業に身をおいてプロジェクトを推進することが成功のポイントになります。

難しいケースもありますね。我々はAIを手段として捉えて、「どうやってデータを取ってくるのか」「どうやって地図に反映するのか」「いかにしてビジネスとして成り立たせるか」などをすべて考えるから、リアリティがあるわけです。

特にデータは事業を展開していくなかで蓄積されていくものですからね。GOには、、『DRIVE CHART』から得られる各種データがあります。なので、僕らエンジニアは開発する上での環境がかなり整っているんです。

AIで社会実装したいなら、ぜひ入社をおすすめしたい。特に画像処理系のAIをやりたい人にとっては、天国のような環境だと思います。『DRIVE CHART』は全国のタクシーや営業車、トラックなど契約台数7万台以上なので、鮮度の高い道路の画像が大量にあるんです。逆になんとなくの「AIをやりたい」ぐらいのフワッとした気持ちでは、厳しい言い方になりますが、通用しないでしょうね。

テクノロジーを“売る側”か、“使う側”か

ーご自身のキャリアを振り返って感じることはありますか。

今でも思うのは、「新卒でSIerへ入社した」という選択についてです。「もしあのとき大手ポータル運営やインターネット関連サイトのようなITを“使う側”の企業へ入っていたらもっと良かったかも…」とは思ってしまいますよね。

もちろん、SIer自体を否定しているわけではありません。一般的な企業ではエンジニアを抱えられないし、ITプロジェクトは“つくって終わり”なので。SIerという業態がないと、日本のITシステム自体が成り立たなくなることは理解しています。僕自身、SIerにいたからシステムに値付けする力が身についたと感じています。

ただ、結果として僕自身は気質的に“使う側”の方が向いている。だから、少なくとも僕のように「誰かの役に立ちたい」という気持ちのある人は、エンジニアを抱える気持ちのある会社で腕を磨いていくのがベターだと思います。

逆に「誰かの役に立つ」ということに興味がない人やかつての僕のように「ITで飯を食えればいい」というタイプの人はSIerが向いているような気がします。

ーこれまでに書籍も3冊出版されています。

これはSIer時代の後半にオープンソース技術部隊に身を置いた時の価値観がモチベーションになっています。オープンソースは「技術を無料で使う代わりに、みんなで技術や知恵を持ち寄ろう」という思想です。

僕自身オープンソースにすごくお世話になったから、もらうだけじゃなくて還元していきたい。だから、自分の知識をどんどん出していこうと思っています。もちろん、オープンソースのコードをつくるという方法もありますが、登壇などの対外発表を繰り返しているうちに「本を書いてみませんか?」と声をかけていただき、気がついたらもう3冊も書いていました。

ー社内では若手エンジニアの対外発表も指導していますよね。

GOにおける僕の武器のひとつが対外発表力だと思っていますので、どうにか会社に還元していきたい。書籍執筆も含めて対外発表の経験値は社内随一なので、若手たちに伝承することで会社のプレゼンスそのものをアップさせていきたいと考えています。

この年齢で「俺が!俺が!」と出しゃばっていたら、ちょっと恥ずかしいじゃないですか(笑)。登壇のチャンスがあったらできるだけ若手に任せて、サポートに回ります。

ー最後に、学生時代の自分に伝えたいことはありますか。

繰り返しになりますが、ひと口にITと言っても“売る側”と“使う側”でエンジニアのスタンスは全く異なります。就職活動ではつい「IT業界」という括りで考えてしまいますが、違いがあることを理解するところからスタートした方がいいですね。

そのうえで自分の向き不向きを見極める。僕は少し遠回りしてしまったので、最短距離で自分のやりたいことにチャレンジできることを願っています。

※掲載内容は2024年2月時点の情報です。

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