デザイナーも、プロダクト企画から携わる。「デザイン部」の組織づくりとは
タクシーアプリ『GO』、法人向けサービス『GO BUSINESS』、次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』など、“交通課題の解決”につながるさまざまなプロダクトを生み出してきた、株式会社Mobility Technologies(以下、MoT)。
開発の中心となり、企画・設計からリリースまでのマネジメントに関わっているのが「プロダクトマネジメント本部」です。4つの部門から構成されており、その中の1つには「デザイン部」があります。そこで、今回はプロダクトマネジメント本部における「デザイン部」の位置づけ、期待されている役割について、本部長の黒澤とデザイナーの向井、中村に話を聞きました。
プロダクトの企画・設計から関わるデザイナー
—まずプロダクトマネジメント本部に「デザイン部」をおいている理由について聞かせください。
黒澤:プロダクトマネジメント本部のミッションは、「質の高いプロダクトを生み出すこと」です。そのためには、プロダクトの企画・設計に携わるメンバーとデザイナーがワンチームで協働できる体制が非常に重要だと考えています。
プロダクトの企画・設計においては、様々な要素を複合的に捉えて考える必要があります。ユーザーインタビューなどで得た「定性情報」や、さまざまなデータ分析から得た「定量情報」の活用はその一つですが、デザインも欠かせない要素の一つ。デザインの話ぬきで、ユーザーに対するコミュニケーション設計を考えることはできません。
会社によってはPdMがワイヤーフレームを作成して、デザイナーはその要件に従ってデザインしていくケースもありますが、MoTではPdMから依頼を受けてデザインする進め方ではなく、PdMと並走するかたちでプロダクトの企画・設計により深く関わってもらっています。
強みを発揮し、互いに学び合う「2つのデザインチーム」
—デザイン部の中には、「プロダクトデザインチーム」と「コミュニケーションデザインチーム」の2つがあるとお聞きしました。役割は異なるのでしょうか?
黒澤:「プロダクトデザインチーム」と「コミュニケーションデザインチーム」では、求められる役割や必要とするスキルが異なります。ですが、“デザイン”という意味では、共通する部分も多くあるというのが、私の考えです。同じ部門に所属し、それぞれの強みを発揮しつつ互いに学び合う機会を増やしていくことで、より強いプロダクトを生み出すことのできる強い組織に成長していけると考えています。
その一つの取り組みとして、最近ではプロダクトデザイナーとコミュニケーションデザイナーが一緒にデザインレビューを開催しています。MoTのデザイン部ではそれぞれの領域に積極的に踏み込んだ働き方や業務アサインを推奨しており、お互いに学び合えることが多く存在します。また、基本的な情報設計の考え方や、無数にあるデザインの可能性の中から、いくつかのデザインパターンに絞っていく経験則や思考法など、お互いに共有し合うことで、デザイナーとしての成長やアウトプットの質を高めていくための極めて有意義な場となっています。
—では、各チームの役割・必要なスキルを教えてください。
向井:「プロダクトデザインチーム」は、MoTが提供しているプロダクトにおけるデザイン開発全般が担当領域になります。
デザインは、ビジネスをよりよくしていく手段として捉え、ビジュアライズスキルをコアスキルとするデザイナーならではの力を用いて、心地よく使えることはもちろん、ユーザーが抱えている課題を解決に導いていくための体験設計やUI開発などを行っています。
—ビジネスをよりよくしていく手段とは?
向井:ビジネスの成功確率を高めるデザイン、と言ってもいいかもしれません。ですから、プロダクトデザイナーに求められるのは、デザインに対するプロセスや根拠をしっかりと語れること。なぜこのアウトプットにしたのか?それによって、どのような効果があったのか?…これまでの経験をノウハウ化し、次へつなげていく力が大切だと考えていますね。
—「コミュニケーションデザインチーム」はいかがですか?
中村:「コミュニケーションデザインチーム」が扱う領域は、「プロダクト以外」のユーザーがMoTに触れるタッチポイント全てです。たとえば、タクシーデリバリーアプリ『GO Dine』では、ライフスタイルマガジン『GO Dine Magazine』を発行しています。この冊子を手に取ったユーザーに『GO Dine』のご馳走がある暮らしをイメージして頂くことが狙いです。そのためにモデルファミリーの取材まで行いました。
グラフィックデザインを軸に、WEBでのタッチポイントとなるランディングページなども手がけますし、社内外問わず、“MoTのカルチャーに触れる体験づくり”を目指しているチームになります。
—社内外問わずというのは?
中村:昨年、MoT社員の行動指針となるValueをビジュアル化する取り組みとして、カルチャーブック『4WHEELS BOOK』を発行しました。
このValueのコピーライティングは、時間をかけて考え抜かれたものなのですが、やはり言葉だけでは社員への浸透が難しいんです。そこで、社員同士で同じビジュアルイメージを共有できるように、Valueにグラフィックを施しました。
グラフィックデザインは、コミュニケーションデザイナーのベーススキルです。グラフィックデザインには伝統があります。数々のアーカイブを、現代にフィットするように再解釈していく力が求められる。同じ”シンプル”でも、それがアール・デコのような表面的なミニマルさなのか、ル・コルビュジェの建築のような”禁欲の果て”なのか、きちんと説明できることが大事です。歴史を理解した上で、デザインの文脈の中での自身の立ち位置を自覚しているデザイナーは優秀だと思います。
—同じ”デザイン”でも、だいぶ異なるんですね。
中村:そう思います。個人的な意見ではありますが、グラフィックデザインでは「アーカイブを扱う力」が求められるのに対して、プロダクトデザインでは、日々進化するテクノロジーにアジャストしていくことが求められる。学ぶ先が「過去」なのか、「未来」なのか…。そんな感じ方をすることもありますね。
それぞれの「個」を重視する組織づくり
—おもしろいですね。実際の仕事で、シナジーを生む場面もありますか。
向井:ここは強化しているところです。先ほど黒澤さんからもあった通り、デザイン部全員でのレビューもその一つです。プロダクトデザイナーとコミュニケーションデザイナーで持っているスキルも経験値も様々で、お互いに補完しつつ、自分とは異なる視点でフィードバックをもらいながら、デザインに向き合えたら、よりよいアウトプットが生まれていくと思います。
中村:私は採用場面で感じていますね。最近は、向井さんと一緒にデザイナーの採用面接を担当しているんですが、淡々とロジカルに質問をしていく姿に刺激を受けます。私の場合は感覚的というか、会話の流れの中で候補者の人間性を拾っていく。バックグラウンドや得意とするフィールドが違うだけで影響し合えるのは、プロダクトデザイナーとコミュニケーションデザイナーそれぞれが、デザイナーとしての専門性を高めているからこそ。いつも同じ領域にいるだけでは得られない学びがあると思いますね。
—デザイン部を含めて、プロダクトマネジメント本部の組織づくりは、多様性を大切にされている。一人ひとりの「個」を重視されているように感じます。
黒澤:プロダクトマネジメント本部において組織とは、一人ひとりの“スペシャリティ”が思いきり伸ばせる場でありたいと思っています。他を圧倒する強みがあるならば、多少苦手なところがあってもいい。誰かの得意は、誰かの不得手だったりするわけですから。補完し合えればいいと思うんです。チームであることの意義はそこにあるし、だからこそ、一人ではなし得ない大きな成果が生み出せると信じています。
MoTでは「移動で人を幸せに。」をミッションに掲げ、タクシー産業の課題解決を起点に、交通課題や社会課題の解決に取り組んでいます。これは決して簡単なことではありません。非常に難易度が高い取り組みです。だからこそ、それぞれの分野でスペシャリストが必要ですし、その多様なスペシャリストを束ねていくのが、“MoTの挑戦”だと思うんです。PdM、デザイナー、エンジニア…それぞれ役割は違うけれど、“MoTの挑戦”でつながる、そんな組織でありたいですね。
※掲載内容は2022年4月時点の情報です。
~中村が手がけた仕事はこちらでも紹介しています!
・MoTのコミュニケーションデザインの仕事
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