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「移動の歴史」に名を刻む大プロジェクト。タクシーEV化を起点に、日本の“脱炭素化”を目指す

2022年12月、株式会社Mobility Technologies(以下、MoT)では、「タクシー産業GXプロジェクト」に関する記者発表を行いました。これは、タクシーのEV車両化によって社会全体のカーボンニュートラルへの意識向上を促進し、2027年までに年間のCO2排出量を3万トン削減し脱炭素化を目指すという取り組みです。(本取り組みのプレスリリースはこちら

現在、社会全体で解決していく必要がある脱炭素化という大きなテーマに真正面から取り組んでいるのが、MoTの「次世代事業本部 GX部」。今回は部長の佐々木、電力技術グループGMの山田、事業企画グループの伊藤がどのような想いで取り組んでいるのか、話を聞いてみました。


身近な存在であるタクシーから、社会課題に向き合う

「MoTは、テクノロジーとタクシー事業者ネットワークの両方を持つ唯一のプレイヤー」と語るGX部 部長の佐々木

——まずはGX部のミッションについて教えてください。

佐々木:マクロからの話になりますが、2020年10月政府は「2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ」との政策目標を発表しました。この実現を目指す上で、我々MoTが担うモビリティ分野においても、化石燃料ではなくクリーンエネルギーを中心とする産業構造や社会システムへと変革を目指すGX(グリーントランスフォーメーション)の取り組みは急務といえます。

特に人々にとって身近な存在であるタクシーのEV化は、社会的にも大きなインパクトを与えることは間違いありません。「テクノロジー」と「タクシー事業者ネットワーク」の両方を持つ唯一のプレイヤーであるMoTが中心となり、タクシーEV化を起点に日本全体の脱炭素化を目指していく。それがGX部のミッションになります。

——「タクシーEV化を起点に…」とは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか。

佐々木:現状、日本のタクシー産業が抱えている課題は大きく2つあります。1つは「EV車両普及率の低さ」、2つ目が「燃料費の高騰」です。まずは、これらの課題をしっかりと解決していくことが、GX部のファーストミッションだと捉えています。

伊藤:「EV車両普及率の低さ」に関していうと、現在運行されているタクシー21万車両のうちEV車両が占める割合はわずか0.1%ほどで、1000台タクシーがあったら、そのうち1台がEV車両という計算です。2つ目の課題である「タクシーの燃料であるLPガスの高騰」の解消も含めて、これまでにない新たなビジネスモデルを考えていく必要がありました。

MoTが目指したのは、国からの助成金を活用した「EV車両の普及」と化石燃料に頼らない再生可能エネルギーをMoTが調達・供給するという「エネルギーマネジメントシステムの構築」です。

ここ1年ほどで、タクシーアプリ『GO』から取得した膨大なタクシー運行データを分析し、乗務実態を考慮した上でのエネルギーマネジメントの設計を行ってきました。電力卸市場から廉価で安定的な充電サービスを提供するだけではなく、充電器の最適な配置、適切なタイミングでの充電サービスなど「充電プラットフォーム」を構築することで、EV車運用の効率化を図りたいと考えています。システムは開発フェーズに入ったので、ここからは来年4月以降のEV車両の本格導入に向けて動き出しています。

「EV車両と電力の提供」だけでは解決しない

事業企画グループで企画設計やEV車両対応を担う伊藤(左)と電力技術グループGMで電力・充電器にまつわる手配や政策進行を担う山田(右)

——「GX事業」が取り組んでいるのは、ビジネスモデルから作っていく話なんですね。

佐々木:そうです。GX部が状態目標の通過点として掲げているのは、「2027 年までに年間CO2排出量を3万トン削減すること。これに対して、ただ単にタクシー会社にEV車両を導入いただき、廉価で安定的な電力供給をすれば解決するという簡単な話ではありません。発電・送電との連携、タクシーの運行オペレーションの最適化など、複雑で非常に難易度の高い問題を“ビジネス”として解決していく必要があるのです。

伊藤:しかも、導入するEV車両はここから一気に拡大していきます。2023年4月にはまず500台、2031年までに最大42,000台を予定。過去を見ても、これだけの規模でEV車両を商用車として走らせたケースは国内にありません。営業所の車両をまるごとEV車両に置き換えていく…そんな規模感の話です。「これまでとは桁違いのEV車両をいかに現状の運行を維持しながら走らせていくか」を考えていかなければなりません。

山田:ですから、関係企業に対してもMoTが目指す世界から話をしていくことが重要だと思っています。私たちが実現したいのは、非常に最先端な“エネルギーマネジメントの構築”であり、そこに対して共感してもらえることも大事にしています。

実際に私が担当しているものの一つには、タクシーの運⾏効率を損なわない充電計画の実行があります。タクシーは、1日の走行距離が自家用車に比べて7倍程になりますから、長距離運行に耐えうるためには、最適な充電器の配置が重要。電力会社はじめ、充電器メーカー、施工会社など多くの関係者との交渉を重ねながら、効率的に充電を行う環境を整備しています。

たとえば、もし各事業者様が自由なタイミングで充電を行ってしまうと、電力代金も一気に跳ね上がります。タクシー事業様にとっても、供給する電力会社にとっても大きな負担がかかってしまう。乗務員の方々が充電できる時間帯や廉価な電力供給ができる時間帯などを考慮した仕組みを目指しています。

「移動の歴史」に名を残すレベルのプロジェクト

——非常に大規模で難易度の高いプロジェクトではありますが、みなさんはどのような想いで向き合っているのでしょうか。

佐々木:この難易度の高さが大変さでもあり、個人的には楽しさを感じているところでもありますね。あらゆる事象が複雑に絡み合い、ここまで規模の大きな事業に携われる経験は貴重ですし、誰もができる話ではないと思っています。

それこそ「移動の歴史」に残るレベルのプロジェクトではないでしょうか。人の移動が徒歩、馬車、自転車、自動車…と進化していく中で、ここからはEV車の普及が広がっていく段階で、歴史的意味を持つ場面だと捉えています。

伊藤:私も同じ感覚ですね。社会的意義の高さを感じながら、日々の仕事に向き合っています。
現状でいうと日本におけるEV車両の普及は、海外に比べると大きく遅れています。2022年の海外の新車販売台数に占めるEVシェアは約10%であるのに対して、日本はわずか約2%ほど。日本人の意識も同様で、そこまで高いとはいえないのが現状です。しかしながら、今回取り組む「タクシー産業GXプロジェクト」を通じて、その意識は大きく変わっていくはずです。街中で頻繁に見かけるタクシーの変化が、社会の意識変化につながっていくと確信していますし、僕たちの手で変えていきたいと思っています。

山田:私はMoTに入社したのは2022年8月で、それ以前はずっと電気業界で経験を積んできました。業界の異なるMoTに入社を決めたのは、MoTが掲げる「タクシー産業GXプロジェクト」に興味を持ったからです。全く新しい形でエネルギーマネジメントシステムを構築し、地球規模の課題を解決していこうと本気で考えている。これまでの自身の経験が役立つと感じましたし、私も同じ未来を実現したいと強く思ったんです。

佐々木:「タクシー産業GXプロジェクト」での成功は、その後、タクシー産業だけにとどまらず、トラックやバスの商用車、さらにはマイカー領域にまで広がっていくでしょう。この広がりこそがMoTのミッションである「移動で人を幸せに。」の実現なのだと思っていますね。

佐々木 将洋(ささき まさひろ) 次世代事業本部 GX部 部長
大学卒業後、大手通信販売会社に新卒入社。その後、大手マーケティング・リサーチ会社にて経験を積み、2015年「クラシファイドサイト」を運営するベンチャー企業に入社。新規事業、リスクマネジメント、渉外、事業提携、ディレクションなど幅広く担当。取締役・執行役員として活躍。2021年5月、株式会社Mobility Technologiesに入社。

山田 洋介(やまだ ようすけ)GX事業部 電力技術グループ グループマネージャー
大学卒業後、東芝に新卒入社。太陽光・風力発電や蓄電池システムの開発に携わる。その後、NECにて蓄電システムの事業開発などを経験。2022年8月、株式会社Mobility Technologiesに入社。GX部にて、充電器設備の設備設計や電力調達を担当。

伊藤 寛(いとう ひろし) GX事業部 事業企画グループ 
大学卒業後、総合商社に新卒入社。自動車事業でのM&A・事業投資・戦略立案などを経験。2020年、株式会社ディー・エヌ・エー入社。事業統合後は、経営戦略部にて統合初期のPMI・資金調達等を担当。2021年よりGX部にて事業企画を担当。

※掲載内容は2022年12月時点の情報です。

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