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起業のために退職も再入社! “出戻りエンジニア”決断の真意

GOでは、ちょっと珍しいバックグラウンドのエンジニアが活躍しています。

彼の名前は、伊藤康利。元々GOの前身であるJapanTaxi時代より後部座席タブレットの開発を担当していましたが、一念発起して起業。その後、経営から離れてAndroidエンジニアとして再びキャリアを歩み始めたのち、2024年4月にGOへ再入社しています。

なぜ彼は、いわゆる“出戻り”を決断したのか。外の世界を経験したからこそ見えてきたものは。彼の決断の真意に迫ります。

伊藤いとう 康利やすとし
IoT本部 IoT開発部 車載システム第一グループ
受託開発会社でAndroid/iOSエンジニアとしてのキャリアをスタート。GOの前身であるJapanTaxiへ入社し、主に後部座席タブレットの開発を担当する。その後、一念発起し起業するも、コロナの影響などを受けてAndroidエンジニアとして転職。その後、再びGOへ。


起業のために退職! ……も、まさかの迷走?

IoT本部 IoT開発部 車載システム第一グループ
伊藤いとう 康利やすとし

ーまず、当時のMoblity Technologies(以下、MoT)退職の理由から詳しく教えてください。

伊藤:友人に誘われて、起業することにしたからです。私自身エンジニアですが、父親が経営者だったため経営にも興味がありました。友人から「やろうよ」と声をかけられたときはチャンスだと思いましたし、エンジニアリングの会社だったので。

ですから、MoTに何か不満があったわけではないんです。チャレンジのタイミングとして逃したくなかったので、当時の上司や同僚からも「頑張ってこい」と送り出してもらえました。

ーどういった事業を手がけていたのでしょうか。

伊藤:自社サービス開発と受託開発です。大体半分以上が受託開発でした。

ーちなみに、自社サービスはどういったプロダクトだったのでしょうか。

伊藤:スパイス料理やカレーなどを専門にしたレシピ共有アプリ『The Curry』です。結構ニッチなサービスでしたが、スパイス系の会社さんに声をかけてInstagramで料理コンテストをやったり、Instagramで料理をつくってくれそうな方に声をかけたりして、半年ぐらいで1,000人ぐらいの方にアプリをダウンロードしてもらうことができました。

ただ、そこから伸び悩んでしまって……半分以上が受託開発だったので、リソースの問題もあり、二人で「やりたいけどできない」というジレンマを抱えながら過ごしていました。今考えると、結構迷走していたと思います。

ー結果として2年弱で会社経営から離れることになるわけですが、続けていくという選択肢は考えなかったのでしょうか?

伊藤:理由としては2つあります。1つは家族ができて自分のライフステージが変わったこと。もう1つはコロナの影響で受託開発の仕事が減って先行きが不透明になってきたことです。家族に迷惑をかけたくなかったので、社長と何度も相談して退職しました。

ー次の転職先としてヘルステックを選ばれました。その理由は?

伊藤:「仕事を通じて誰かの助けになるようなことをしたい」と考えていたからです。

特に当時はヘルステック業界が盛り上がっていましたし、その転職先はエンジニアもマーケティングに関わるなど職域を超えたことにもチャレンジできる点に魅力を感じました。『The Curry』でビジネスモデルの設計に失敗していた気がしたので、改めて勉強し直したい気持ちでしたね。

再入社を後押ししたタクシーアプリ『GO』の体験とは?

ー転職先での仕事についてはいかがでしたか?

伊藤:入社後は、PdM兼エンジニアのようなポジションの先輩からアプリマーケティングなどを学びつつ、自分で要求仕様書を書いて試作をするなど、かなり幅広く関われました。

例えば、大手ドラッグストアと協業してウォーキング記録アプリをつくっていました。「歩いたらマイルがもらえてドラッグストアで景品と交換できる」といった施策を通じて、ドラッグストアへ足を運ぶ機会創出もできていたので、健康への意識向上に少しは寄与できたのではないでしょうか。

ーなぜそこからGOへ転職を?

伊藤:1つめは、ソフトウェアだけでなく、IoTの開発に再度関わりたいと思ったから。2つめは、タクシーアプリ『GO』に改めて価値を感じたからです。

子どもが初めて病気になったとき、私も妻も焦っていて車の運転が不安だったので、『GO』でタクシーを呼んだんです。体感としては、タクシーを呼んでから病院までは本当に一瞬でした。アプリの体験が、スマホのなかだけではなく、実際の生活のなかでできることに改めて驚かされましたし、アプリとしてかなり進化したと思いました。

また、予めアプリにクレジットカードなどの支払い手段を登録しておけば車内で決済しなくてもすぐに降りられる「GO Pay」の機能は、ユーザー体験として生み出すことは大変だったと思いますが、「自分もやってみたい」と思ったのが大きいですね。2023年の年末に今の上長である佐々木に相談して、今に至ります。他に選択肢はなかったですね。

ー佐々木さんとはどういうやり取りをされたのでしょうか?

伊藤:「ちょっと相談があるんですけど……」と。すぐに返信をくれて、「気持ちはわかった。でも、転職にはリスクが伴うよ」と念押しされたのですが、「それでもやりたいです」と伝えました。そうしたらすぐに面接の段取りを整えてくれて、取締役の青木からも「戻ってきなよ」と温かい言葉をかけていただき、無事に復帰できました。

ー「起業する」と言って退職したわけじゃないですか。正直な話、恥ずかしい気持ちみたいなものはなかったですか?

伊藤:起業していたことを知っていたのは、青木と佐々木ぐらいなので……でも、佐々木からは「ほらね」と言われました(笑)。

ーとはいえ、誰でもウェルカムなわけではなかったと思います。復帰できた要因があるとしたら何だと思いますか?

伊藤:うーん……自分で分析するのは難しいですね……。敢えて挙げるとするなら、「不満を不満のままで終わらせずに解決しようと心がけるところ」でしょうか。

JapanTaxi、MoT時代も意見は随時発信していましたし、解決手段も目標にしていましたし。どれだけバリューがあったかはわかりませんが、その辺りは少しは認めてもらえていたような気がします。

4年ぶりのGOで感じた変化

ー4年ぶりのGOはいかがでしたか?

伊藤:みなさんが歓迎してくれて嬉しかったです。ただ、社名が変わったことにはなかなか慣れませんでしたね(笑)。

タクシーアプリ『GO』の機能面としては、決済手段も増えていたし、後部座席端末に流れる広告も増えてきていましたし、何よりTVCMも毎日のように放送されていますからね。本当に誰もが知っているサービスになっていて、すごいと思いました。

ー4年前と変化を感じた点はありますか?

伊藤:以前はDeNAとJapanTaxiがワンチームを目指す途中のタイミングで抜けてしまったのですが、まとまりはすごく出たような気がします。社内イベントなどもにぎやかだし「当時よりもかなり盛り上がってる!」と浦島太郎状態です(笑)。

ー仕事内容についても教えてください。

伊藤:以前は後部座席タブレットの決済周りをメインに担当していましたが、今は乗務員向けタブレットを担当しています。既存の運用というよりも、新しい構成を考えることが増えてきたので、過去の記憶を思い出しながらやっているところです。

特に頭を使っているのが、後部座席タブレットとの連携ですね。乗務員さんは後部座席で決済されている様子が運転席のタブレットでしかわからないので、伝え方や見せ方については工夫しています。乗務員さんのなかにはご高齢の方もいるので、文字を大きくしたり、音でわかりやすく知らせる機能の開発等、より使いやすくなるための工夫をしています。

もちろんマニュアルなどは用意されていますが、アプリがわかりやすければ覚えることも減りますからね。乗務員さんの体験向上は、乗客の体験向上にも直結しますので、より注力していきたいと思います。

ー入社からこれまでで手応えを感じていることはありますか?

伊藤:今まさに、まだ連携できていない端末同士をどう繋ぐかといった新たな構成を考えています。ゼロから作る部分も多く、つい熱中してしまっています(笑)。

一度、GOを離れて見えてきたこと

ー一度GOを離れた経験が活きていると感じる場面はありますか?

伊藤:コミュニケーションの部分でしょうか。ずっとエンジニアとして経験を積むだけだったら、仕様の意図はどはあまり気にしないままだったと思います。

起業やヘルステック企業での業務を経験したことで、PdMと積極的にコミュニケーションをとるようになり、より広い視野で、かつ思考が鮮明な状態で開発に取り組めるようになりました。矛盾点があった場合も解消できますからね。

ー「GOのここを変えたい」という部分はありますか?

伊藤:つい忘れがちになってしまうのですが、今の開発環境は技術的に古くなりつつあります。バージョンが古いと脆弱性も増えてきてしまうので、なるべく早めに解決して、新しい環境を目指していきたいと思います。

ー今後GOでチャレンジしたいことはありますか?

伊藤:10年近くエンジニアとして働いてきて、個として、コードを書いたり、設計したりという部分はある程度力がついてきた感覚はあります。次は、チームで力を掛け算してやっていきたい。チームとして向き合うことでより良いものができるはずなので、マネジメントなどにもチャレンジしていきたいですね。

ー最後に、佐々木さんにひと言お願いします。

伊藤:ええっと……(笑)。あの、快く受け入れてくれて、本当にありがとうございます。配属先を決める際も、「いずれはチームの中心になってほしいから」と、情報をキャッチしやすい環境を考えてくれたことを覚えています。期待に応えられるように頑張ります。本当に「ありがとうございます」という言葉しかないですね。

※掲載内容は2024年6月時点の情報です。

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