見出し画像

プロダクトも組織も進化の途中。だから、おもしろい|取締役 IoT統括部長 青木亮祐

2022年9月、タクシーアプリ『GO』はリリースから2周年を迎えました。

事業統合、そしてコロナ禍でのリリースと波乱のスタートを切った『GO』でしたが、タクシー事業者の皆さま、そして何よりユーザーの皆さまのおかげで、2022年9月には1000万ダウンロードを突破。全国どこでも『GO』を利用できるように、サービス提供エリアを拡大しているところです。

「サービスの勢いとは裏腹に、組織面は特に統合からちょうど1年後ぐらいがかなりハードでしたね」

一見好調に見える2年間を苦笑いを浮かべながらこう振り返るのは、取締役・IoT統括部長の青木亮祐。青木はどんな壁に直面し、いかにして乗り越えてきたのか。そして、彼が思い描くMobility Technologies(以下、MoT)のこれからとは。


多くのメンバーとの別れ、痛感した悔しさ

ー「統合から1年後」ということは2021年7月ごろですよね。一体何があったのでしょうか。

青木:退職者が急増してしまったことがありました。多いときは、部署内で月3名は退職するような状態で。2021年9月は、社員数も一番少なかったと思います。

採用はしているものの、退職が退職を呼ぶような負の連鎖が続き、肉体的にも精神的にもかなりしんどかったですね。「早くこの状況を抜け出したい」と毎日のように考えていました。

ー何が原因だったのでしょうか。

青木:一概に「これだけが原因」というものはなく様々な要因がありました。開発面ではプロダクトも走っていたし、組織もMVVを掲げて方向性を定めようとしていたのですが、コミュニケーション不足や余裕のなさが加わりうまくワークできませんでした。

また、先行きを不安にさせてしまった部分もあります。誰もが「この先どうなるんだろう?」という不安を抱えているにも関わらず、オフラインのコミュニケーションができない状態が続いていたので。私たちは組織の健康度を測るeNPS(Employee Net Promoter Score)という指標を取り入れており、統合からしばらくは数値が悪かったです。

1年ほど経過した頃、徐々に改善傾向になり、それに伴なって会社の雰囲気や人とのつながりも醸成されてきたように思います。“MoTでの働き方”がある程度定まることで自分に合うかどうかも見えてきます。冷静に考えればタイミング的に退職者が増加する時期と理解できますが、実際に自分が渦中にいるとやはり辛い気持ちが強かったですね。

ーどのように向き合っていきましたか。

まずはeNPSから見える課題にしっかりと真摯に向き合うところから始めました。

同時に、視野を広げることを意識したのもその頃です。それまでは自部門だけを気にしていたのですが、他部門の課題も結果的に自部門の課題につながることもあるし、他部門とのコミュニケーションに課題が見つかることもある。自部門だけだとそれなりに悪い状態から抜け出すことはできるかもしれないけれど、仕事のやりがいや成長機会などを考えると他部門との連携はマストです。ちょうど取締役に就任したタイミングだったこともあり、部分最適から全体最適へマインドチェンジしました。

そして、全社に対して「MoTはこういうeNPSの結果なので、悪い状態です」と共有し、そのうえで「一緒に課題と向き合っていきましょう」と声をかけました。

求められたのは「元エンジニア」からの脱皮

ー具体的にどのように解決へと導いていったのでしょうか。

青木:まずは半期、目標設定の中にeNPSを落とし込んで行動しました。全社的に「この半期はここを目標に取り組もう」ときちんと掲げて、各部門が実現するために行動するイメージです。手応えとしては、かなりしっかりできたと思います。

私個人としては、先ほどお伝えしたような全体最適を意識しつつ、eNPSから見える課題をチェックしていました。eNPS自体は数値なので、当然上がったり下がったりしますが、その原因をしっかりと把握して解決すべき課題に落とし込むこと。もちろん数値が下がったらショックは大きいのですが、「あーあ、下がっちゃったね」だけでは終わらないようにしないといけないと常に考えていました。

正直、自分自身にもプレッシャーはありました。もともとそんなにフラットに物事を見られる人間ではないので。ただ、先ほどの「部分最適から全体最適へ」の話と同じように、自分も脱皮しなければいけないタイミングであることは感じていましたね。

ー成果はどのタイミングで感じましたか。

青木:数値自体は着実に上がってきたので、毎回成果は感じていました。特に成果だと感じたのは、今までは見えていなかった新しい課題が見えたことです。

半年ぐらいのスパンで直面する課題の質が変化し、より高いレイヤーの議論が求められるようになっていきました。自分たちの視点がアップデートされている感覚こそが、成果だと言えるのではないでしょうか。まぁ、「ゴールだ」と思ったら、その先にまたゴールがあるので、これはこれでしんどい部分はありますが(笑)。

ーエンジニア出身の青木さんが組織課題に向き合う意義とは。

青木:なんでしょうね……。立場が変わったからという部分は強いと思いますが、個人的には組織課題に携わる魅力や楽しさを感じるようになりました。

たとえばエンジニアリングで新しいサービスを開発するためには、お金と時間があればそれなりにできてしまいます。しかし、組織づくりやカルチャーづくりはそうはいかない。エンジニアリングとは軸の異なる難しさ、ハードルの高さみたいなものに駆り立てられるというか。「大変だからこそ、やってみたいと思った」というのが私の答えですね。

ーエンジニアとしての経験で通用する部分はありますか。

青木:これまでの経験をそのまま転用できるものではありませんでした。むしろ新しい頭の使い方や「とりあえずやってみること」の大切さなどは新たに身につけられたものだと感じます。でもそうやって行動するした先にこれまでの経験が活かせる場所も自ずと見えてくるのだと思います。

組織づくりにも“銀の弾丸”はない

ー今後組織をどのように育てていきたいですか。

青木:長く働ける会社にしていくために何ができるかを考えていきたいです。私自身MoTの前身であるJapanTaxiに入社したのが2015年なので、社内だとかなり長い方になりますが、最近だと「2〜3年いれば長い」と言われています。
業界柄、在職期間は短くなりがちなのかもしれませんが、個人的にはひとつの会社に優秀なメンバーが在籍し続けていることで、結果的に周囲に対して「いい会社なんだな」と好印象を与えることができるとも思っていて。もちろん、働きやすい環境づくりや文化づくりは不可欠ですが、将来的には社会的にもっと信頼される会社へ育てていきたいですね。

ーメンバー個人の成長という点だといかがでしょうか。

もちろん組織だけでなく、個人の成長機会にも注力しています。事業のスピードに応じた業務はとても大変ですが、その分学習の機会もありますし、自ら事業を作りあげていく感覚も持てる環境だと思います。それらの機会に対してOKRやeNPSを使ってより成長をサポートできればと考えています。

ーIoT統括部長として、プロダクトに関してはどう考えていますか。

青木:正直課題はまだまだ多いですね。しかし、着実に最適かつ安定する方向へ進んでいます。エンジニアリングも組織づくりも同じで、“銀の弾丸”はないんですよね。ショートカットできないので、まだ少し時間はかかりそうですが、エンジニア一人ひとりがプロダクトに対して真摯に向き合ってくれています。

ー青木さんにとって、MoTで働くモチベーションとは。

青木:大きく分けて2つあります。

1つはモビリティ領域への関心度の高さ。前職でもずっとEVやHEV向けのセンサーを開発するなどモビリティ関連に携わってきたので、結局モビリティが好きなんだと思います。移動のDXという壮大なテーマにイチから携わり、モビリティ業界をリードする存在へ育てていくことには大きなやりがいを感じています。

もう1つは、未完成な組織ならではの魅力です。組織もプロダクトも、まだまだ成長の過程にあるし、これから新しい価値が生まれる可能性も含んでいる。組織もプロダクトも、そして人も成長しているところなんですよね。メンバーみんなで会社を育てている感覚があるからこそ、毎日ワクワクしているのかもしれません。

ー今後青木さんがMoTで担っていきたい役割とは。

青木:具体的には決めていないのですが「エンジニア」という肩書きに捉われずに働きたいですね。

おかげさまで、社内で「え! 青木さんってもともとエンジニアだったんですか?」と言われることがたまにあります(笑)。社内では「eNPSの人」「OKRの人」というイメージが定着してしまっているようなのですが、最近はそれでいいような気がしていて。

「自分はエンジニアだから……」という感覚が強いと視野が狭くなるし、周囲への影響力も弱くなり、課題解決のスピードも落ちてしまう。だから、あまり肩書きにこだわらずにフラットに組織と向き合っていきたいと思います。組織の課題は、ずっと向き合うべきテーマです。根気強く、コツコツと取り組んでいきたいですし、私に限らず今のMoTには着実にそれと向き合って共闘できる仲間が揃っていると強く確信しています。

青木 亮祐(あおき りょうすけ):取締役 IoT統括部長
2009年、TDK株式会社の開発部門に入社。電気自動車やハイブリッド車向けセンサなどの開発や海外工場の立ち上げなどを経験。2015年に日本交通株式会社に入社、2017年よりJapanTaxi株式会社に転籍。ドライブレコーダーや配車システムなど様々な車載システム開発を経て、2019年10月よりIoT開発部 管掌執行役員 兼 部長に就任。2020年4月よりMoTに開発本部ハードウェア開発部 部長として転籍。2021年6月より現任。


採用情報
Mobility Technologiesでは、共に働くメンバーを積極的に採用しています。