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AIスペシャリストが集結! 次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』にかける想い

GO株式会社が手がけているのはタクシーアプリ『GO』だけではありません。

私たちが目指すのは、さまざまな交通課題・社会課題をテクノロジーの力で解消していくこと。『GO』は手段のひとつに過ぎません。

交通事故削減という壮大なミッションを掲げて取り組んでいるのが、次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』。ドライブレコーダーとAIを掛け合わせることで、運転によって検出したデータを即座にドライバーへフィードバック。危険運転を削減し、安心安全な交通を実現するサービスです。

今回部門の垣根をこえて『DRIVE CHART』に関わる5名のエンジニアに、このサービスに関わる意義、そして今後の展開を聞きました。

髙野 勇介(たかの ゆうすけ)
スマートドライビング事業本部 システム開発部 エッジグループ グループマネージャー

前職まではスマートフォン連携機能をメインに車載機器をはじめとした組込機器開発リードに携わる。2019年にDeNAに入社した時から事業統合後の現在まで『DRIVE CHART』のエッジデバイス(AI搭載通信型ドライブレコーダー)の開発に従事。昨年からは開発に加えてマネジメント業務も担っている。

松井 健一 (まつい けんいち)
開発本部 AI技術開発部 データサイエンスグループ・グループマネージャー

大手通信キャリア、外資系コンサルティング会社を経て2018年11月DeNAに入社。入社以降事業統合後の現在まで一貫して『DRIVE CHART』のAIモデル開発に関わる。Kaggle Master. Qiita SILVER contributor.

森 健太郎(もり けんたろう)
スマートドライビング事業本部 システム開発部 サーバーグループ グループマネージャー

大手SIerを経て、2011年にDeNAに入社。Mobage、および、AndAppプラットフォームの立ち上げに携わったのち、『DRIVE CHART』の立ち上げ・リードエンジニアとして現在もエンジニアチームを率いる。2016年には副業でエクセライク株式会社を創業している。

本多 浩大(ほんだ ひろと)
開発本部 AI技術開発部 AI研究開発第一グループ

大手メーカーにてイメージセンサや画像処理の研究開発に従事、2017年にDeNAに入社し『DRIVE CHART』開発に参画。以来、事業統合後の現在まで外向きカメラによる画像認識の開発に従事している。

森本 淳司(もりもと あつし)
スマートドライビング事業本部 システム開発部 AI基盤グループ

SIer企業にてエンジニアとして活躍。その後、メディア事業を手掛ける企業などを経験し、2021年10月、GO株式会社に入社。現在は『DRIVE CHART』のエンジニアとして、MLOpsを担当。


1日で集まるデータ量は、地球100周分!?

ーまずはみなさんの仕事内容から教えてください。

髙野勇介(スマートドライビング事業本部 システム開発部 エッジグループ グループマネージャー)

髙野:エッジグループのグループマネージャーとして、グループのマネジメントとドライブレコーダーのエッジAIの開発しています。また、製造を委託しているメーカーから納品されたデバイスの検証、デバイス内で作動するアプリの開発なども担当しています。

:私はエッジやAIとのAPIやWEBアプリケーションのサーバからインフラまでを担当しています。2017年の当時DeNAでの『DRIVE CHART』創業メンバーとなります。私自身もグループマネージャーですが、プレイングマネージャーとして設計から開発まで担当しています。

本多:私も『DRIVE CHART』が立ち上がったタイミングでジョインし、以来6年半関わっています。スタートアップのようなフェーズから関わったサービスが、今のような体制で運用できるようになるまで大きくなって嬉しいです。具体的な業務は、前方を走っている車や歩行者を発見するコンピュータビジョン(画像認識技術)の開発です。

中央:本多浩大(開発本部 AI技術開発部 AI研究開発第一グループ)

森本:私は、AI基盤グループに所属しています。本多さんたちのグループが開発したAIモデルやロジックを本番サーバで稼働することを担うグループです。

松井:私は、データサイエンスグループのグループマネージャーを担っています。エッジデバイスから得られたデータをサーバに蓄積して、コンピュータビジョンの情報や加速度や地図などのデータを統合させて、「脇見運転」や「一時不停止」といった危険イベントを検知するためのAIロジックをつくっています。

ー1日あたりどのくらいのデータが検出されているのでしょうか。

森本:今の契約台数は約6万台です。もちろん毎日全部の車が走っているわけではありませんし、会社によって1日の運転時間はまちまちですが、タクシー事業者やトラックドライバーは1日8時間ほど走るので、ざっと計算しただけでも数万台×数時間のデータが検出されることになります。1日あたりに集まるデータの数は、走行距離にして地球100周分とも言われています。

また、1ヶ月あたりどれくらいの『DRIVE CHART』搭載車両が日本全国の道路を走っているのかを計算したところ、高速道路は96%以上、一般国道では91%の網羅率でした。規模としてはかなり大きいと言えます。

『DRIVE CHART』が実現する「危険運転」の数値化

ーこの仕事の面白さ、やり甲斐について教えてください。

森健太郎(スマートドライビング事業本部 システム開発部 サーバーグループ)

:先ほどの話に通じますが、扱うデータが多いことが最大の特徴ですね。

特に個人的に面白さを感じるのは、「AI × IoT × ビッグデータを支えるアーキテクチャ」だと思います。どれだけデータ量が増えても処理スピードを落とさずに運用できています。また、『DRIVE CHART』のビッグデータから新たなビジネスが社内や協業で生まれていることも興味深いです。このように技術ドリブンなところも『DRIVE CHART』ならではの面白さだと思います。

髙野:私は、先ほどお伝えしたようにドライブレコーダーで生成されたデータを集める中枢部分を担っているので、品質を担保することが重要だと考えています。

そのために、メーカーから納品されたデバイスを丁寧に検証するだけではなく、量産前にもフィールドテストを実施。グループ内外のメンバーにも協力を仰ぎながら、十分な期間検証したうえで量産化しています。さらに、車両搭載後も新しいバージョンリリースのタイミングでリリース前はもちろんのこと、リリース後も問題発生の有無を監視。車の環境、気温や通信状態によって誤差やトラブルが出やすいものではあるのですが、「いかに外的要因による不具合を排除して安定稼働させていくか」を追求することにやり甲斐を感じています。

本多:私は、運転の危険性をスコア化している点ですね。私は普段から車に乗るので、運転中に「危ない」「怖いな」と感じることがあります。これまでは主観に過ぎなかった「危ない」を、『DRIVE CHART』は客観化、定量化することができます。『DRIVE CHART』があることで、一台でも多くの車がゆとりを持って運転できるようになっていたら嬉しいです。

森本:本多さんに近いですが、交通事故削減サービスに関わっていることにやり甲斐を感じます。とはいえ、担当している業務がユーザーからは遠い部分なので、カスタマーサクセスをはじめいろいろな部署が集まる定例会でユーザーの情報を得て、実感を深めています。

松井健一(開発本部 AI技術開発部 データサイエンスグループ・グループマネージャー)

松井:同感ですね。個人的に印象に残っているのは、あるユーザー様に『DRIVE CHART』を試してもらったときのことです。直前まで何回か一時不停止が検出されてしまっており「今度こそ一時不停止がないように運転しましょう」という話をしていました。そこで、「今日は一時不停止はしなかった!」と自信満々だった日があったのですが、いざ結果を見てみたら一時不停止してしまっていた箇所がありました。

よくよく確認してみたら、ドライバー自身が一時停止箇所ということに気づいていなかったために発生している箇所でした。いくら意識をしていても止まるべき箇所に気づいていなければ止まれないので、AIで「一時停止すべき箇所を見落としています」とフィードバックできたことは、大きな成果だったのではないでしょうか。

ー『DRIVE CHART』がなかったら気づけなかったかもしれない、と。

:そうですね。事業者様からよく聞くのが、『DRIVE CHART』導入前は、ドライブレコーダーのSDカードを管理者がドライバー分集めて早送りで動画を見て、危ない運転があったら指導していたり、コンサルティング会社に動画を送って、1ヶ月後にレポートをもらって指導していた、という話でした。

しかし、管理者が全員分の運転データを目視するのは限界がありますし、1ヶ月後のレポートもタイムラグがありすぎてドライバーには響かず、交通事故が減らないジレンマが長年あったようです。

『DRIVE CHART』が導入されたことで、AIが危ない運転だけ即時にピックアップしてくれるので、管理者のコストも大幅に削減でき、ドライバー自身もその動画を見て運転行動の改善につながり、危ない運転が減って、結果、交通事故の大幅な削減が実現できています。

内製、かつフラットな組織だからこそのエンジニアの働きやすさ

森本淳司(スマートドライビング事業本部 システム開発部 AI基盤グループ)

ーGOという組織についてはいかがでしょうか?

森本:エンジニアのほとんどはリモートワーク中心ですが、きちんと組織として機能しているところは大きな特徴だと思います。オンラインのミーティング、Slackでの非同期のテキストコミュニケーションの二軸で、問題なくプロジェクトが推進できている点は魅力です。

あとは、組織構造もフラットです。必要なタイミングで直接相談して物事を決められるので、主体的に動いてアイデアを出したい方にとっては働きやすい環境だと言えるのではないでしょうか。

:僕が魅力に感じるのは、エンジニア主導でプロダクトを開発できる点です。一般的にはプロダクトオーナーが絶対で、ベルトコンベア的につくっていくことが多いですが、それだとエンジニアとしては面白味に欠けてしまう。

でも、GOはエンジニアの観点でプロダクトが開発できています。しかも、技術の知識に長けていて、かつ開発力も兼ね備えたエンジニアが揃っています。『DRIVE CHART』がわかりやすい例ですよね。いい意味でのベンチャーらしさを感じられる環境だと言えます。

髙野:ベンチャーらしい社風は根付いていますよね。部門の垣根をこえて議論できるカルチャーなので、エンジニアとしても提案しやすい。

あと、内製の割合も高いですね。私はメーカー出身で、ソフトウェア業界は外部の協力会社に開発を委託するケースが多い印象だったのですが、GOは基本的に自分たちでつくれるものはつくっていくスタイル。自分たちでやるべきところは内部でつくって、そうでないところは外部に委託するという切り分けがきちんとできている点は強みだと思います。

本多:内製で、かつ組織がフラットだからこそ、スピーディに開発できるんでしょうね。何か問題や、やりたいことが発生したときにすぐに動き出せるのは、組織の強みでもあるし、モチベーションにもつながる部分です。

toCでの展開を目指して

ー今後の展望について聞かせてください。

髙野:今の契約台数は約6万台ですが、日本中を走っている車に搭載していくためにはまだまだ供給力が足りません。ただでさえAIが動くにはそれなりにリッチな環境が必要ですが、半導体不足の影響も受けてドライブレコーダー自体が割高になってしまっているので、高価な計算資源ではなくても作動するようなプロダクトを開発していくことが直近の課題です。

ーそれはtoCも視野に入れているということでしょうか?

髙野:そうですね。toCに展開していく方法についてはまだ議論を重ねるべきなのですが、それができないことには社会全体の交通事故削減につながっていかないので。toBでカバーできてない部分を抑えつつ、開発コストを抑えてtoCでの展開を考えていきたいと思います。

:“守り”の部分としては、コスト削減の話に加えて技術的負債の解消にも取り組んでいます。正直なところ、これまでスピード最優先で”攻め”の開発を進めてきましたので。ただ、新しい技術を積極的に取り入れて、新機能やサービスを、ベンチャーマインド精神でガンガンつくっていくスタイルは変えないつもりです。

toCへの展開についても、たとえば、数年前に東京都と一緒に高齢者を対象に『DRIVE CHART』を搭載してトライアルを実施したりして、プロダクトづくりを検討しています。こういった取組みも継続しており、今後も積極的にやっていきたいと考えています。

森本:先ほど髙野さんが話していましたが、今後スケールさせていくためには技術的に足りないものがあります。ただ、AI周りだと新しい技術がどんどん出てくるので、チャレンジしやすい環境や雰囲気をつくっていきたいですね。

松井:私は課題は2つあると考えています。ひとつはより多くのシーンでAIが危険な運転行動を検出すること。一時不停止を例に取ると、走行している道路の状況によってはGPSの測定精度が十分ではなく、車両位置や速度の信頼性が高いデータを得られない場合があります。このときAIは確信度高く危険運転の発生を判定できないため、事業者様に提供できないケースがあるからです。このようなシーンでもきちんと事業者様に提供できるように、AIの精度を上げていきたいですね。

もうひとつは、コスト削減です。基本的に動画はデータ量が大きいので通信にもコストがかかりますし、クラウドに保管する際のストレージも圧迫してしまいます。一方、センサーデータなどの数値データは比較的データ量が少ないです。少ないデータでも同じ精度を実現できるように工夫すれば、自ずとコスト削減につながると考えています。

本多:やはり膨大なデータの有効活用ですね。地球何周分のデータがあるにも関わらず、まだまだ活かしきれていない。私が担当する画像認識でも膨大なデータから引き出せることは無限にあるので、どんどんチャレンジしていきたい。たとえば、ある交差点の右折だけに限っても、『DRIVE CHART』は大量の“右折データ”を持っているはずです。画像認識だけではなく、さまざまなアプローチで膨大なデータを活用していきたいですね。

※掲載内容は2023年9月時点の情報です。

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