「理想をカタチに」タクシーアプリ『GO』の成長を支えるハードウェアエンジニアたち
GO株式会社と一般的なWeb企業との違いのひとつが、ハードウェア開発部門の存在です。
タクシーアプリ『GO』などのアプリケーションをはじめとするWebサービスを手がけるのがソフトウェア開発グループなら、タクシー車載用タブレットやドライブレコーダーなどを手がけているのがハードウェア開発グループです。
最近では、新たにオリジナルの乗務員端末である8インチタブレットをリリース。GOの機能性向上を後押ししています。今回は、ハードウェア開発グループから3名のメンバーが登場。8インチタブレットの開発秘話を通じて、ハードウェア開発グループのミッションに迫ります。
乗務員端末の理想をカタチに
ーまず、グループ内でのみなさんの役割から教えてください。
加藤:私は主にメカを担当しています。具体的には、ハードウェアの意匠面のチェックや新たな部品を実装する際の検討などをしつつ、最近ではソフトウェア(アプリとハード側OSとのAPI連携含めた繋がりの部分)も重点的に見ていくようになりました。
米澤:私は、電気回路がメインです。前職で組み込みソフトウェアも担当していたので、車載機器システム全体のことも考えながら設計・検討をしています。
阿部:私も電気回路を担当しています。ただ、回路や電気の部分だけに注力するというよりも、ハードウェア全体として「いかにアプリをうまく動かすか」という視点が求められるようになってきています。
ーなぜ8インチタブレットを開発することになったのでしょうか。
加藤:もともと使用していた既製品のタブレットだと、夏場になるとバッテリーが膨張したり、アプリ機能への要望があったりしたので……「どういう乗務員端末が理想なのか」を仕様に落とし込んで開発しました。乗務員の方々の要望を具現化することをコンセプトにしていました。
また、既製品をリースして運用するよりも、GOとして求めるスペックで、乗務員の方々の要望に合った専用のタブレットをイチからつくったほうが、GOが管理にかけていたリソースを削減できるので。
米澤:自分たちでつくることができるので、自ずとやりたいことを全部詰め込むことができます。例えば、現状のタクシーメーターと乗務員端末はネットワーク経由で接続しているので、環境によっては不具合が起きやすいですが、新たに開発した8インチタブレットだと直接接続できるので以前より堅牢なシステムができます。私たちとしても理想的な車載機器システムを作ることができます。
動かさないとわからない! フィールドテストの裏側
ー8インチタブレットの開発において苦労した点はありますか。
米澤:8インチタブレットに限らず、ハードウェアは実際に動かしてみないとわからないことが多いんです。「この場所に行くとなぜか不具合が出る」とか「1000回以上動かすと稀に不具合が出る」だとか。
一般的なメーカーなら作業分担できていてテストを担当する専任スタッフが配置されているのですが、GOのハードウェア開発グループはまだ人数が多くないので自分たちでテストしています。少人数での製品開発の割には確認項目が多く、不具合の発生条件を推理しながら原因をつぶしていくプロセスが一番大変でした。
ー実際には、どのようなテストを実施していったのでしょうか?
阿部:車に開発中のタブレットを何台も載せて、みんなでドライブしながらタブレットの動きを見るフィールドテストを月1くらいのペースで実施し、実際のタクシー車両を模擬した試験をやっていました。机上の検証だと気づかない点や特定条件でのみ発生する不具合もあり、とにかく手数を増やすしか方法がなかったので、半日以上車を回して、「今日は不具合が再現しなかったね」とか。
ーちなみにフィールドテストのコースはどのように決めるのでしょうか。
阿部:基本的には都内のエリアで、不具合が出やすいであろうポイントをいくつか決めて臨みます。8インチタブレットは乗務員の方のナビゲーションに使われるため、GPSの精度が重要ということから、あえて都心のように高層ビルが多く、厳しい条件下でチェックしていました。
ーフィールドテストにおいて印象に残っていることはありますか。
米澤:ある不具合が、4〜5ヶ月かかって再現されたことですね。毎月走っているときは再現されなかったのですが、テストを開始する前にある作業をしたら偶然再現されました。市場には出せないレベルの不具合だったので、解決できて本当によかったです。
阿部:現在、徐々に市場に導入している段階ではありますが、幸いなことに現状大きな不具合は起きていないんです。新規のハードウェアを導入してそこまで不具合が起きないことは結構珍しいことなので、正直ホッとしています。フィールドテストを含め様々な検証を行い、不具合を潰し込んだ甲斐がありました。
ヒアリングからテストまで。ハードウェア開発の領域
ー逆に面白さを感じたことはありますか。
米澤:やはりハードウェアは“触ってなんぼ、使ってなんぼ”ですからね。フィールドテストしかりどんどん外に出ていけたのは楽しかったです。実際にタクシー事業者様にご使用いただき、ヒアリングにも行きました。乗務員の方が「ほしい」と言っていた機能を実現するためにアクティブに動くプロセスはワクワクしました。
先ほどもお伝えしたようにメーカーだと役割分担がされていますので、開発者がヒアリングやテストまでを手がけられることは、GOならではの醍醐味です。
加藤:そうですね。乗務員の方々にご使用いただいたフィードバックをハードウェア開発グループのメンバーが直接ヒアリングするようにして、よりリアルな声と要望を開発に反映できるようにしました。実際に使ってみて課題を抽出したり、課題がちゃんと解決できているのかを確認したりする作業はやりがいがありました。
阿部:入社以来、乗務員の方々の意見をこんなに聞く機会はなかったので、個人的にも非常に勉強になりました。合計20名弱の乗務員の方々に話を聞いたのですが、「この機能はすごくいい」という方もいれば、「私はこういうやり方はしないから、これはいらない」という方もいて。それぞれ考え方に違いがあるのも興味深かったです。
基本的に8インチタブレットにはみなさん良い評価をしてくれていて、一度ヒアリングしてもらった乗務員の方のところにまた訪問したら、わざわざ私を呼び止めてくれて「阿部さん、阿部さん! めちゃくちゃいいよ!」と声をかけてくださったんです。直接ユーザーからのフィードバックを受ける機会は今までなかったので、すごく嬉しかったですね。
ー基本的にはリモートで開発をされているそうですが、コミュニケーションにおいて工夫した点はありますか。
阿部:本当に3人ともオフィスに出社しないタイプの人間で、家から出ないんです(笑)。だから、ほぼ毎朝3人で進捗会議のような形でオンラインミーティングをしていました。とにかく会話の時間を確保することがポイントだったように思います。
未来を見据えたエンジニアリングを
ー今回のプロジェクトを通じての課題について教えてください。
阿部:「私たちにAndroidアプリケーションやミドルウェアの知識があれば……」ということですね。基本的にメカのエンジニアと電気回路のエンジニアで開発してきたわけですが、ハードウェア全体で見ると搭載されるOSやアプリケーションの動きが重要で、我々としても苦労した部分だったので。ソフトウェアエンジニアの力も借りましたが、もう少し私たちに知識があればもっとスピーディにできたはずなので、今後は解消していきたいですね。
ーでは、最後にお三方の今後の目標について教えてください。
阿部:私はとにかく乗務員の方々に気持ちよく使ってもらえるようにすることですね。今後、「絶対に不具合が起きない」とは言い切れないので、何か起きてもなるべく最小限の規模で収まるようにスムーズに対応していく体制を整えたいと考えています。
加藤:私は、8インチタブレットが安定稼働するための仕組みづくりに貢献したいと考えています。そして、ゆくゆくは8インチタブレットをGOが提供する乗務員タブレットのメイン端末に据えていくための構成をつくりあげていきたいですね。
米澤:まさにそうですね。新たな課題の解決に向けて、さまざまなハードウェア開発を続けていきたいと考えています。今は上長と「会社として中長期で予想される環境変化」を議論し「新しいサービスを提供する場合、こういう機能を実現できるデバイスがあったら良いよね」といった案出しをしているところです。8インチタブレットは直近のGO車載機器システムとしての中心となっていきますが、機能拡張、さらには新しいデバイスを開発するかもしれません。いずれにしても、「移動で人を幸せに。」を実現できる、未来を見据えたハードウェア開発をしていきたいと思います。
※掲載内容は2023年11月時点の情報です。
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