ビジョンの共通認識が得られたコーポレートムービーの力〈The Breakthrough Company GO 三浦崇宏さん × 当社会長 川鍋 × 社長 中島 特別インタビュー〉(前編)
旧Mobility Technologies時代の2021年頃より、コーポレートブランディングにおいて協力いただいてきたのが、企業のマーケティング・ブランディング・新規事業開発などを手掛けるThe Breakthrough Company GOです。代表取締役 PR/CreativeDirectorの三浦崇宏さんと、会長の川鍋、社長の中島との議論を重ねていき、私たちの社会的価値を言語化。2022年春に完成したコーポレートムービーでは私たちの目指す姿が描かれました。
The Breakthrough Company GO(株式会社GO)とGO株式会社。今回は、2つの「GO社」がタッグを組むようになったきっかけ、コーポレートブランディングに対する取り組みと反響について、それぞれが社名に込めた想いなど、三浦さん、川鍋、中島に語ってもらいました。
タッグを組んだきっかけは…
—— 二社の最初の出会いは?
川鍋:確か、Twitterで三浦さんがタクシーアプリ『GO』に関するツイートをしているのを見たんですよね。「僕らと同じ名前ですね。応援してます」みたいな内容だったと思う。
三浦:そうそう、そんな出会いでした。
川鍋:三浦さんの会社は、私たちと同じ六本木エリアにオフィスを構えていて、『GO』という同じ名前を大事にしていて。あとは、圧倒的なクリエイティブ力で素晴らしい成果を残されていらっしゃったので、一度、相談してみたいと思ったんです。
その当時、会社としてはタクシーアプリ『GO』を中心に、次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』など複数の事業を展開していて、コーポレートブランディングについて改めて考えていかないといけないタイミングでもあった。
たとえば、旧社名の「Mobility Technologiesです」と言っても、全然知られていないとか、伝わらないとか。そのあたりを三浦さんに相談できたらと思って連絡を取らせてもらったんです。
三浦:お会いして最初にやらせてもらったのが、1対1でじっくり話を聞かせてもらうことでした。川鍋さんと中島さん、二人代表で会社経営されてるとのことだったので、それぞれの考えを個別で聞かせてもらいたかった。
その上で感じたのは、お二人とも一番奥のところでがっちり握手していて目指す方向は一緒なんですけど、その戦略をどう実現させるのかの順番が異なっているのかも…でした。どっちがいい/悪いって話じゃなくて、好みに近い話なんですけどね。
—— 「順番が違う」とは?
三浦:川鍋さんは目の前にいらっしゃる周りの方々と丁寧に連携をとっていきながら、会社を成長させていくようなイメージで、一方、中島さんはテクノロジーの力やビジョンドリブンで会社の成長イメージを一気に作っていくようなイメージですかね。
中島:三浦さんが「目指している方向は一緒なんですけど、時間軸や進め方が違うってことですね」と言語化してくれて、「そうそう、そうなんです」ってストンと腹落ちした感じになりました(笑)。
三浦:僕がいうのもなんですが、“いいコンビなんだな”って思いました。
川鍋:自分もこのコンビの凹凸がいいのかなって思っているところもあります。もともとの経緯でいえば、ライバル同士だった二社が事業統合して新しい会社を立ち上げたわけですから、やりたいことを実現するための戦略がいろいろあるのも当然だなと思うんです。事業統合したから生まれた多様性がたくさんあるんだと感じていて。
三浦:そう思います。なので、「企業としてこういう感じになっちゃうと大変なんですけど、それよりこうやって共生するといいのかも」「こういうイメージですよね」なんて話を間に入ってさせてもらいました。
映像を通じた「感情の共有」で、人々の認識を作り直す
—— そこから、具体的な取り組みはどのように進んでいったのでしょうか。
中島:三浦さんと話をして整理された感覚はあったものの、それとは別で「私たちは社会課題の解決に向けていろいろな事業をやっている会社なんだ」って世の中に表現したい気持ちはあって、(ミッション・ビジョン・バリューのうちの)ビジョンの明文化も相談させてもらったんです。
そこから「モビリティから、技術を前へ、産業を前へ、ライフスタイルを前へと進める。」というビジョンが決まって、さらに「コーポレートムービー」の提案をもらったんですよね。
私の中に明確なアウトプットをイメージしていたわけじゃないですが、“適切な言葉”を探しているところはあったので、最初お聞きしたときは進んでいきたい方向性や世界観をムービーで見せるってのはアリなのか?そんなのできるの?という気持ちのほうが強かったような気もしますね。
三浦:確かに方法としては、社長のトップスピーチや社員向けのイベントなんかもあると思うんです。大手のメディアにインタビューしてもらって社長のビジョンを語るとか。けれど、これまでを見ても川鍋さんも中島さんも結構いろんなところで発信されている。しかも、お二人ともめちゃくちゃプレゼン上手ですし。
それでも、伝わっていないな…となるのは、やっぱりタクシーアプリ『GO』が強すぎるから。みんなの意識がそっちに引っ張られているんだと思ったんですね。タクシーアプリ『GO』の会社だよね、って。
だから、論理じゃなくて感情で人々の認識を作り直さないといけない。それができるのが映像なんです。映像の持ってる力は、「論理の説明」じゃなくて「感情の共有」。社長がビジョンを語る以上に、感情に訴えかけるような映像を作ったほうが課題は解決されるんじゃないか、とお伝えしました。
中島:なるほど、映像が多くの情報と世界観を伝えられるのだと。それなら制作してみようか、とムービーの制作も三浦さんにお願いすることにしたんです。
歴史を語れるのは、モビリティを革新する正統な継承者だから
—— コーポレートムービーを制作する上で、大事にしていたところは?
三浦:川鍋さん、中島さんと話をして、一番伝えていかないといけないと思ったのは「移動の歴史を革新する会社」という点。
さまざまな事業を展開されているけれど、そこについて単なる説明をするのではなく、その事業によってどうやって「人々の暮らし」や「感情」が変わっていったのかを丁寧に伝えていく必要があると思った。「人間の移動の歴史」を定義することで、会社の未来を描いていった感じですね。
川鍋:確かにね、中島さんが社内で「会社の未来」について話をするとき、歴史の部分から始まるんですよ。それが自分にはなかった発想だったな、と思うことはあって。
僕はずっと日本交通に関わってきて、ここにはすでに95年の歴史がある、だからそこは当たり前になっていて、歴史の価値が分からなくなっていたのかも知れないなと思うんですよね。今回、改めてそこにスポットを当ててもらって、なるほどそうか!と。
三浦:「御社はモビリティを革新させていく正統な継承者だ」、とお伝えしたと思います。
川鍋:そうそう、このワードをもらいました。これは僕らが大事にしないといけない部分だし、他にはない価値なんだと気付かされたところは強くありました。
三浦:僕は、歴史とは現在の人間が作るものだと捉えていて、過去にあったいろいろな出来事を時系列と意味を持って、現在の人間が編み直していくことだと思うんですね。その上で歴史を作ることには二つの価値があって、一つは「歴史をつくると産業が生まれる」、二つ目は「歴史をつくると未来がわかる」です。
「歴史をつくると産業が生まれる」というのは、たとえば絵画でいうと、ある作品に数十億の価値が付けられるのは、“ヨーロッパの歴史を整理してみると、この作品はここに位置づけられるから歴史的価値があるよね”となるわけで。逆に歴史がないと、産業の価値がないとも言えるんです。今回、移動の歴史を編み直すというのは、移動の産業が生まれる話なんだと思った。
二つ目の「歴史をつくると未来がわかる」というのは、人間は歴史を繰り返しているからです。不景気の後には好景気になるとか、このファッションの次はこのトレンドが来る…とか、振り子のような現象が発生する。つまり、歴史を編み直すことは未来を予測することと同義だと思っていて。
そういう意味からも、「GO株式会社」が移動の歴史を学び、語り、編み直し、そして、その見直した移動の歴史に自分たちを「モビリティを革新させていく正統な継承者」として位置づけることはめちゃくちゃ重要だと思ったんです。
印象に残ったのは、社員の「スッキリした顔」
—— ムービーを見た感想は?
中島:本音をいうと、私は出来上がってくるまで不安で不安で…(笑)。ちゃんとしたものになるのかな、という気持ちは最後までありましたね。でも、完成したムービーを見たときは、本当にお願いして良かったなと思ったのを覚えてます。
川鍋:僕もどうやるの?難しくない?と思った(笑)。自動運転とか電気自動車とかまだ車体自体すらできてないものもあるのに、それをどうやって走らせるんだろう?フルCGでやるの?とか、いろいろ気になっていて。でもそこはさすがで、アニメーションと実写とCGを使い分けてしっかり表現されていて、素晴らしいムービ―になっていました。
—— 社員のみなさんの反応はいかがでしたか?
川鍋:ちょうど会社の2周年で全社員が集まるタイミングがあったので、そこで見てもらうことにしました。三浦さんにもここに間に合わせるために、かなり無理なスケジュールでお願いしました。
三浦:それは本当に!めちゃくちゃ短期間でしたね(笑)。
会社のブランドを象徴するムービーっていうのは、お客様、株主、関係企業、メディア関係者など多くの人たちに届けるものですけど、同時に社員の方々にも「この会社が何のためにあるのか」を理解してもらう意味は大きいと思っているんです。だから、全社集会のタイミングがあるなら、それは絶対間に合わせたほうがいい。そう思って取り組みました。
中島:当日はけっこうドキドキしてたんですけど、ムービーを見た後みんなが「スッキリした顔」をしてくれてた印象を持ったんです。こういうものを見せてほしかったんです、ちゃんと会社の未来を見せてくれたんですね、と言ってくれてるように感じて、とても嬉しかった。実際にフィードバックも、良かったです、見れてよかった、って話が多かったですね。
三浦:それは良かったです。
中島:あとは、選考での面接の質問が全然変わりました。これまでは「タクシーしかやらないんですか?」と聞かれることも多くて、そのたびに時間をかけて会社の未来について語っていたんです(笑)。けれど、候補者の方はみなさんムービーを見てくれていて、「タクシー産業の課題解決を起点に、交通課題、社会課題に取り組んでいくんですよね」という共通認識がある。これは大きな違いですね。
川鍋:不安も大きかった分、想像以上に良いものを作っていただけて喜びも大きかったですね。モビリティを革新させていく正統な継承者という、僕らのあるべき姿を言語化してもらって、ビジョンやムービーで魅力的に表現してもらえたと思っています。
——お話、ありがとうございました!後編では、社名変更の経緯、それぞれが社名に込めた想いについてお聞きしていきます。
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